旭硝子(AGC)は、厚さ0.1mmの薄板ガラスの微細穴開け加工向け高速プロセス技術の開発に成功したことを発表した。同加工技術と薄板ガラスの生産技術の組み合わせにより、積層半導体など先端アプリケーションへガラスを活用できるようになるという。

薄板ガラスは、透明性、耐熱性、電気絶縁性などのガラスの優れた特長に加え、厚さ0.1mmという特長を活かすことで、様々な製品への応用が期待されている。しかし、薄いガラスであるため、通常の方法による加工は難しく、その実用化に向けては、新たな技術が必要とされていた。

今回同社では、放電による絶縁破壊を利用した微細穴開け加工技術を開発。これにより、薄板ガラスに対して精密な穴開け加工を可能とした。処理速度も数msと高速であり、応用例として、積層半導体の中継基板(インターポーザ)用薄板ガラスの穴開け加工などが考えられるという。

積層半導体は、半導体チップを垂直に積み重ねて性能を向上させるもので、インターポーザを経由してプリント基板に接続される。一般的にインターポーザは、半導体の貫通電極などを中継するため、50μm程度の穴が多数必要となるが、現在、インターポーザの素材として注目されている厚さ0.3mm程度の薄板ガラスであっても、従来の技術では微細な穴開け加工は難しいとされていた。

今回開発された高速、高精度の微細穴開け加工技術

今回の加工技術を同ガラスインターポーザの加工に用いると、貫通電極中継用の穴を精密かつ高速に加工することが可能となり、ガラスを用いた積層半導体が実現できるようになるという。

ガラスインターポーザの構成

なお、同社ではガラスの材料設計・製造から、精密加工まで、幅広いガラス技術を活用していくことで、高度化が進むエレクトロニクス分野の製品・技術開発に注力していくとしている。

ガラスインターポーザ表面の電子顕微鏡写真