左から小玉ユキ、嶋木あこ、やぶのてんや。

去る3月2日、東京日比谷の帝国ホテルにて、第57回小学館漫画賞の贈呈式が行われた。

2011年中に雑誌、単行本、新聞などで発表されたマンガ作品を対象に、児童、少年、少女、一般向けの4部門において優秀な作品を表彰する同賞。児童向け部門にはやぶのてんや「イナズマイレブン」が、少年向け部門には石井あゆみ「信長協奏曲」が、少女向け部門には嶋木あこ「ぴんとこな」が、一般向け部門には小玉ユキ「坂道のアポロン」が輝いた。

壇上では、4人がそれぞれ受賞の喜びをコメント。やぶのは間違えて2次会用のメモを取り出し会場の笑いを誘い、「『イナズマイレブン』というゲームを中心としたメディアミックス作品で漫画賞を頂けたことは、何よりの喜びです」と、担当編集、関係者、家族やスタッフに感謝の意を述べた。

石井は「実感はあまりないですが、たくさんの人に評価してもらえたことを嬉しく思います」と緊張した面持ちでコメント。続く嶋木は「この作品では色々な挑戦をしています。ですので正直なところ描いていて不安がいっぱいだったのですが、このような賞をいただけて勇気をもらいました」と、歌舞伎というテーマに挑戦した胸中を語った。

そして小玉は、「先日、本編は最終回を迎えましたが、最後にこのようなご褒美と呼ぶには大きすぎる賞を頂き信じられない思い」と喜びの意を表した。また配布された小冊子には、受賞者へのお祝いの言葉を掲載。やぶのにはレベルファイブ・日野晃博が、石井には田辺イエロウが、嶋木には歌舞伎俳優の中島隼人が、小玉には吉田秋生が、それぞれに向けたメッセージを寄せている。

続いて審査委員を務めたあだち充、尾瀬あきら、角田光代、かわぐちかいじ、さいとうちほ、弘兼憲史、ブルボン小林、武論尊の8人を代表して、武論尊が審査経過や感想を発表。「今日はウケを狙っちゃいけないよとあだち先生にキツく言われているので早速本題に入ります」とメモを取り出し、ノミネート作品の中から受賞作が選ばれた経緯を1作ずつ丁寧に解説した。

「イナズマイレブン」は、同名のゲームを原作としたマンガで、月刊コロコロコミック(小学館)にて2011年10月号まで連載されていた。「信長協奏曲」は、戦国時代にタイムスリップした高校生が織田信長と入れ替わり、政治に戦に奮闘する歴史マンガで、目下ゲッサン(小学館)にて連載中。

「ぴんとこな」は、歌舞伎界における名門の御曹司と、実力のみで成り上がろうとする青年、正反対の2人が同じ女の子に恋をする模様を描く恋愛もので、Cheese!(小学館)にて連載されている。そして「坂道のアポロン」は、1960年代の九州地方を舞台にジャズで友情を培う学生たちを描いた青春マンガ。月刊flowers3月号(小学館)まで連載され、4月からはTVアニメの放送を控えている。