モノを探し出し、人を案内 - 日立、人間共生ロボットに新機能を搭載

日立製作所は、人間共生ロボット「EMIEW2」に、探索・案内の新機能を搭載した。人がモノの場所を尋ねると、屋内に複数台設置したネットワークカメラを"目"として、その在処を探し出し、その場所までスムーズに案内できるという。

日立が2007年に開発した人間共生ロボット「EMIEW2」は、オフィスや公共施設での案内サービスを目的として、人の早足とほぼ同じ時速6kmで2輪の自律走行を行なう小型・軽量のロボット。

2010年には、雑音の中でも人の声を聞き分けて対話し、配線や床面の段差を乗り越え円滑に走行するなど、技術開発を進め機能を拡充してきた。

今回、日立は、オフィスや公共施設でのよりスムーズな案内サービスを実現するために、新たに探索・案内機能を開発。「EMIEW2」に、探して欲しいモノの名前を尋ねると、Web上のデータをもとに作成したデータベースから自律的にモノを識別。屋内に設置した複数台のネットワークカメラが撮影した画像からモノがある場所を探し出し、その場所まで、狭い通路や曲がり角でも速度を落とさずスムーズに人を案内できるという。

探索・案内機能を新たに搭載した「EMIEW2」

今回開発された技術の詳細は以下の通り。

1. Web上のデータを用いて、モノを識別する「物体認識技術」

「EMIEW2」にモノを見せ名前を尋ねると、高速類似画像検索技術によりWeb画像データベースから類似画像を抽出するとともに、画像が使われている文書のテキスト情報を統計処理することで、モノの名前を推定し、読み上げて回答する「物体認識技術」を開発した。

ここでの「高速類似画像検索技術」とは、画像の色の分布や形状など、画像自体が持つ情報を自動的に抽出し、高次元の数値情報として表現した画像特徴量に基づいて、見た目が似ている画像を検索するもの。

また「Web画像データベース」は、Web上のデータを自動収集し、収集したデータの画像の色合いや質感、構図などをパラメータとする特徴量と、それぞれの画像に付随したテキスト情報を抽出することで、両者を対応づけた物体認識専用のデータベース。

2. ネットワークカメラと連携し、モノのある場所を探し出す「物体探索技術」

「EMIEW2」が、探索したいモノの名前を尋ねられると、屋内に設置された複数のネットワークカメラが撮影した物体の画像から作成した物体探索用データベースの「物体認識技術」で推定した物体の名前と、物体が撮影された位置・時刻に関する情報を物体画像に付与)と照合して、モノの所在位置を特定し音声対話で回答する「物体探索技術」を開発した。

3. 人を案内する際のスムーズなカーブ走行を実現する「モデル予測姿勢制御技術」

これまでの自律走行技術では、カーブ走行の際に大きな遠心力変化を受けるため、カーブに差し掛かると一旦走行速度を落とし、向きを変えた上で走行していた。

今回、カーブでも走行速度を落とすことなく、遠心力の変化にスムーズに対応するため、遠心力に対する最適な姿勢をリアルタイムで計算する「モデル予測姿勢制御技術」を開発。この技術と、「EMIEW2」の特徴である足腰を支えるアクティブサスペンション機構を組み合わせることで、急なカーブや連続したカーブでも速度を落とすことなくスムーズな走行を可能にした。

なお「EMIEW2」は、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「次世代ロボット実用化プロジェクト(プロトタイプ開発支援事業)」の一環として2005年に開発された「EMIEW」の技術をベースに、さらに発展させたもの。

また、上記の「Web上のデータを用いて、モノを識別する物体認識技術」については、3月15日から16日まで東京工業大学で開催される「情報処理学会 第181回コンピュータビジョンとイメージメディア研究発表会」にて、詳細が発表される予定だという。

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