米Appleは1月30日(現地時間)、同社リテール事業担当シニアバイスプレジデントにJohn Browett氏が就任したと発表した。同氏は欧州を中心に家電量販チェーンを展開する英Dixons RetailのCEOで、昨年2011年11月にAppleを去ったRon Johnson氏の後任として今年4月より同職へと就任する見込み。

Browett氏は小売業界では蒼々たるキャリアを持つ人物であり、2007年よりDixons RetailのCEO職に就任しているほか、その前は英国最大の小売りチェーンであるTescoのエグゼクティブやそのオンライン部門であるTesco.comのCEO職に着いている。主に英国を中心に小売業界大手を渡り歩いてきた人物だ。一方、同氏が就任することになるリテール事業担当SVPを昨年まで務めたRon Johnson氏は、Apple躍進の原動力の1つである「Apple Store」「Genius Bar」といったメーカー直営ストアの運営形態の原型を作り、その事業を軌道に乗せた人物として知られている。Johnson氏は前職の米Targetから2000年にAppleへと移籍した後、10年あまりにわたってApple Retail Storeを世界中に300店舗以上展開し、2011年11月にデパート業界老舗の1つである米J.C. PennyのCEOへと就任した。

Apple Retail Storeをこれだけ成功させた人物の後任となると、投資家やその周囲からは相当なプレッシャーを受けることになるが、Browett氏の経歴を見る限り、それに相応しいキャリアの持ち主だといえるかもしれない。Dixonsは英国や欧州各国でCurrysとPC Worldという名称で家電小売りチェーンを展開していることで知られている。なおWall Street Journalによれば、Dixonsの株価は年初から40%の急騰を見せていたものの、今回の人事発表を受けて31日のロンドン市場での取引価格で13%の急落となっている。

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