ダイキン工業など、スギ花粉が細胞を一部破壊する有毒性を持つことも解明

ダイキン工業と京都大学は、スギ花粉がアレルゲンとしてヒトに作用するだけでなく、ヒトの鼻やノドから肺へとつながる粘膜を構成する「気道上皮細胞」に炎症を引き起こし、細胞を一部破壊する有害性を持つことを明らかにしたことを発表した。ダイキン工業と京都大学大学院工学研究科の高野裕久教授との共同研究によるもので、成果は2012年11月29日から12月1日に開催される第62回日本アレルギー学会秋季学術大会にて共同発表される予定だ。

今回の研究は、ダイキン工業が2004年に開発した「ストリーマ放電」技術によって微細に分解されたスギ花粉が細胞に対して有害性を持たないことを立証する目的で実証試験を開始。

ストリーマ放電は、従来困難とされていた「高速電子」を安定的に発生させることに成功した空気浄化技術で、プラズマ放電の一種。酸化分解力の高い高速電子を3次元的・広範囲に発生させるため、一般的なプラズマ放電(グロー放電)と比べて、酸化分解力が1000倍以上になり、この強い酸化分解力により、ニオイや菌類・室内汚染物質のホルムアルデヒドなどに対しても持続的な除去効果があるという特長を持つ。これまでにも、強毒性インフルエンザウイルス(H5N1)、弱毒性インフルエンザウイルス(H1N1)やノロウイルス、食中毒の原因となる毒素や細菌といった、さまざまな有害物質の不活化効果があることを、大学および公的研究機関との共同研究で実証してきている。

今回の試験では、自然界に存在するスギ花粉そのものと、ストリーマ放電を照射し、分解したスギ花粉をそれぞれ気道上皮細胞に接触させて細胞の反応を観察した。ちなみに、スギ花粉が花粉症を発症する仕組みは、ヒトの体内に侵入するとことでアレルゲンとして作用し、生体の防衛機能として過剰な免疫反応を引き起こす結果である。

今回の実証試験では、自然界に存在するスギ花粉そのものを接触させた細胞が炎症反応を示し、時間の経過と共に細胞の破壊に至ることから、スギ花粉がアレルゲンだけでなく、ヒトの細胞に対する何らかの有害性を持つことがわかった形だ。また、ストリーマ放電を照射したスギ花粉を接触させた気道上皮細胞は、自然界のスギ花粉をそのまま接触させた気道上皮細胞に比べて、炎症反応が小さく、生存率が高いことを実証している。

試験概要は以下の通り。

  1. 正常なスギ花粉に、ストリーマ放電を2、4、8日間照射
  2. 正常なヒト気道上皮細胞を培養後、ストリーマ放電未照射の花粉およびストリーマ放電を照射した花粉花粉(100/1000μg)をそれぞれ曝露
  3. ストリーマ放電を照射した花粉を曝露させた細胞の一部は、曝露24時間後に、細胞培養液に含まれる「IL-6」(細胞が炎症反応を起こすときに産生されるタンパク質)の量を「ELISAキット」(IL-6に反応すると発色する抗体)を使って測定(IL-6 ELISA法)
  4. ストリーマ放電を照射した花粉を曝露させた細胞の一部は、曝露21時間後に、生存細胞に反応して発色する試薬「WST-1」を加え、培養装置内で3時間静置(曝露:計24時間)し、細胞増殖/生存率を測定(WST-1発色法)した

試験結果は、自然界に存在するスギ花粉をヒトの気道上皮細胞に接触させるとIL-6の産生量が増大し、一方でストリーマを照射した花粉を接触させた細胞は自然界の花粉をそのまま接触させた細胞に比べてIL-6の産生量が少ないことから、スギ花粉はヒトの気道上皮細胞に対して炎症を引き起こす有害性を持ち、ストリーマ放電はその有害性を抑制するという結論に至った(画像1)。

さらに、自然界に存在するスギ花粉をヒトの気道上皮細胞に接触させると細胞増殖/生存率が低下し、一方でストリーマを照射した花粉を接触させた細胞は自然界の花粉をそのまま接触させた細胞に比べて細胞増殖/生存率が高いという結果が得られた。つまり、スギ花粉は細胞の一部を破壊する有害性を持ち、ストリーマ放電はその有害性を抑制すると結論づけられることとなった(画像2)。

画像1。ストリーマ照射によるヒト気道上皮細胞に産生されるタンパク質量の変化。*は、花粉曝露前の細胞群との有意差が認められるもの。#は、ストリーマ未照射群との有意差が認められるもの

画像2。ストリーマ照射によるヒト気道上皮細胞の細胞増殖/生存率の変化。*は、花粉曝露前の細胞群との有意差が認められるもの。#は、ストリーマ未照射群との有意差が認められるもの

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