CES開催を目前に、Appleが開発中と噂される新型「Apple TV」の話題が盛り上がっている。米USA TodayではCES期間中にAppleの新型テレビ製品が発表されることはないと予想しながらも、そのサイズや機能性、そして現状で抱える問題について、関係者のコメントに基づいて推測している。

現行の第2世代Apple TVはテレビそのものとは別製品になっている。次世代のApple TVはテレビにSTBの機能を組み込むことになるのだろうか

新型Apple TVはテレビと一体化する?

これはUSA Todayが1月3日に「Apple television gamble the talk of CES」のタイトルで報じたもので、新型Apple TV周辺の話題についてまとめている。今年のCESではLGやSamsungの55インチ大型有機ELパネルを使用したテレビのほか、第2世代のGoogle TVをはじめとする、いわゆるスマートテレビ (USA Todayでは「iTV」と呼称している)の新製品が大きな目玉になるとみられている。従来のApple TVは、iTunesのサービスに最適化された小型のセットトップボックス(STB)をテレビに接続してコンテンツを楽しむ形態だったが、現在噂になっているApple TVはこうしたSTBではなく、同種の機能をテレビ本体に組み込んだ、いわゆる「iTV」になるとみられている。パネルも従来のデスクトップ型iMacのような20~30インチクラスのものではなく、リビングルームに設置するような40インチオーバークラスのものになると想定される。

USA Todayによれば、以前Appleに勤務していた人物からのコメントとして、同社の製品デザインを手がけるJonathan Ive氏のスタジオで、50インチサイズのテレビが設置されていたのを目撃したことがあるという。また業界関係者らはAppleの新型テレビ製品が42インチ以上のサイズでWi-Fi機能を搭載する製品になる可能性が高いとみており、大型液晶テレビのボリュームゾーンといわれる30~40インチの市場に対して、何らかの特徴的な機能を武器に乗り込んでいくことになるようだ。またIMS ResearchのアナリストPaul Erickson氏による「ライバル製品との差別化のため、Siriまたは音声コントロールに関するアプリを搭載して登場する可能性がある」との見方を紹介している。もちろん、iCloudやiTunes Storeなど、既存のAppleのサービスと連携してくるほか、AirPlayなどもネイティブでサポートしてくるとみられる。

コンテンツを確保できるかどうかがカギ

また一方でUSA Todayは、コンテンツのライセンス問題がAppleの新型テレビ製品で最大の障壁になると予測している。いうまでもなく、iTunes Storeのライブラリがこの新製品の成否を分ける鍵を握っているが、Appleはコンテンツの確保に苦慮しており、テレビネットワーク内で放映される主軸級のテレビコンテンツを現時点で確保できていないというApple TVならびにテレビ業界関係者のコメントを紹介している。

Appleとしては衛星放送やCATVの事業者とのコンテンツ配信契約を結ぶことも想定されるが、既存事業者の側が将来的な脅威と収益減少につながる可能性のある契約に躊躇していることもあり、最終的にApple側からこれらの事業者に対して支払われるコンテンツ利用料が争点になるとみられている。このほか、DisplaySearchのアナリストPaul Gagnon氏によれば、少なくともサプライチェーン筋からの情報でAppleがiTV向けのパネルを発注した証拠が得られていないとの話が紹介されている。

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