Analog Devices(ADI)は12月15日、125℃動作保証された5kVrmsのアイソレーション仕様を提供する信号アイソレーションCAN(コントローラ・エリア・ネットワーク)トランシーバ「ADM3054」を発表した。

ADM3054は、同社の「iCoupler」デジタル・アイソレータ技術を活用し、CANトランシーバと3チャンネルのデジタルアイソレータを、単一の10×10mm表面実装16ピン、ワイドSOICパッケージに組込んでおり、既存のフォトカプラ技術に基づいた部品と比較して、PCB(プリント基板)の部品点数を最大で70%、ボードスペースを最大で61%、それぞれ削減し、設計を大幅に簡素化することができる。

ISO 11898 CAN規格に完全準拠する他、最高1Mbpsまでのデータレートで動作し、工業用温度範囲は-40℃から+125℃の完全仕様となっている。

また、ADM3054は、同社が2010年10月に発表したアイソレートCANトランシーバ製品「ADM3052」および「ADM3053」を補完する製品となっている。ADM3054は、バス側に絶縁された電源がすでにある場合、もしくは既存の絶縁トランスから巻き線を利用できるアプリケーションなどをターゲットとしている。

同製品のロジック部はVDD1上の3.3Vまたは5Vの単一電源から駆動する一方で、バス側ではVDD2上の5V単一電源のみを用いている。バス側(VDD2)の電源の喪失や取り外しは、マイクロコントローラにより内蔵されたVDD2SENSE信号をチェックすることで検出できる。トランシーバは、バスピンCANH(ハイ)や CANL(ロー)上に±36Vフォールト・プロテクション機能を集積しており、12Vや24Vシステムにおける、電源またはグラウンドへの短絡から保護する。さらに電流制限やサーマル・シャットダウン機能も備えている。これにより、出力のショートや、バスのグラウンドまたは電源端子への短絡からデバイスを保護する。

なお、同製品はすでに量産を開始しており、1000個受注時の価格は2.10ドルとなっている。

信号アイソレーションCANトランシーバ「ADM3054」の製品イメージ