科学技術振興機構(JST)は12月15日、都内で2012年3月24日~26日にかけて行われる「第1回 科学の甲子園 全国大会」の100日前イベントとして、すでに地方予選を勝ち抜き全国大会への出場が決定した37校および全国予選特別枠1校の合計38校や全国大会の競技概要、マスコットキャラクターなどの説明を行った。

同大会は、「広げよう科学の輪 活かそう科学の英知」を目標に高校生を対象としたもの。高校生向けの理数学系大会としては国際的な科学オリンピックのほか、企業が冠となっている研究コンテストなどがあるが、「科学オリンピックは個人の卓越した才能をいかに伸ばすか、研究コンテストは、いかに1つのテーマを探求していくかといった側面のもので、実際に学習して学んだことを現場で生かしたり、チームワークを発揮して課題の解決に挑むという産業界が求めるような能力といった面の軸ではなかった。科学の甲子園はよくばりかもしれないが、楽しみながら、各地域の学校の代表として、これまで様々なことを学んできたという経験を発揮する場として提供し、科学が好きという人の裾野を拡大することを目的としている」と、科学の甲子園企画委員会 委員長で横浜国立大学名誉教授の伊藤卓氏は開催意義を語る。

すでに高校生向けの理数学系大会としては科学オリンピックや各社が実施するコンテストなどがあるが、科学の甲子園はそれとは異なる軸の方向性を目指して企画された

地方予選は各都道府県の教育委員会に参加するかしないかまでも含めて任せており、「当初はすべての都道府県が参加してくれるということは厳しいとも思っていたが、最終的に全都道府県が参加を承諾してくれた」(同)とのことで、すでに予選を終えた37道府県でのべ4000名の高校生が参加し、それぞれの地域ごとに特色ある競技が行われた。また、特別枠は都道府県の不参加で都道府県予選に参加できない学校がある場合など事情に対し、その代替手段としてJSTが行う全国予選で、全国各地の高校などが参加した中、福島工業高等専門学校(高専)が出場権を勝ち取った。

出場枠は各47都道府県から1校ずつと特別枠1校の合計48校。12月15日現在、38校(37道府県+1特別枠校)

全国大会までへの道のり

参加各チームの構成は原則、学校単位で高校1~2年生が対象。6~8名で1チームとし、競技は筆記のほか、実験系と総合系の2つの実技の3つで争われる。筆記は高校段階で普通に教わっている理科(物理/化学/地学/生物)、数学、情報の合計6科目から出題された問題を複数人で解いていく。実験系の実技は、理科の実験や観測を複数人で行っていくほか、総合系の実技は総合的な力を発揮して課題の解決を図っていくものとなっている。

全国大会も基本的な競技方法は変わらず、得点配分は筆記が360点(30点×12問、6名参加。競技時間は120分)、実験系実技が360点(180点×2競技、3名ずつ。競技時間はそれぞれ2時間)、そして総合系実技が360点(180点×2競技、3名ずつ。競技時間は各競技ごとに決定)となっており、満点は1080点となっている。

全国大会の各競技の得点やチーム内から参加できる人数、競技時間など

また、併せて同大会のマスコットキャラクターも決定したことが発表された。マスコットも全国の高校生を対象に募集を実施、最終的に32校147件の応募があったほか、愛称募集の方も644件(重複を除くと571件)の応募があったという。最終的には、マスコットキャラクター、名称ともに兵庫県立伊川谷北高校3年の久宗千夏さんが手がけた「アッピン」に決定した。ちなみに、この名前の由来は、「あっ、ピーンと来たっ」と頭に電球が閃く様子をイメージしたものだとのことだ。

イメージキャラクターのアッピン。ちなみに応募147件中、130件超が女性からの応募であったとのこと

なお、全国大会は高校野球の聖地でもある甲子園球場にも程近い兵庫県立総合体育館で3月21日から開催が予定されている「第84回 選抜高校野球大会」とほぼ同時期に開催される予定となっている。