米Microsoftと日産自動車は12月12日、日産自動車の次世代ディーラーマネジメントシステムを、Microsoftが提供するCRMソフトウェア「Microsoft Dynamics CRM」をベースに構築することを発表した。

左から、日産自動車 執行役員 グローバル情報システム本部長の行徳セルソ氏、同 副社長のアンディ・パーマー氏、米Microsoft プレジデント マイクロソフトビジネスソリューション担当のキリル・タタリノフ氏、日本マイクロソフト 代表執行役 社長 樋口泰行氏

次世代ディーラーマネジメントシステムは、日産自動車のグローバルIS中期計画「VITESSE(Value Innovation, Technology Simplification, Service Excellence)」に従って、「約20年使用している」(日産自動車 執行役員 グローバル情報システム本部長の行徳セルソ氏)という既存システムを作り直すものになる。現在のシステムは国内だけでも約500台のサーバで構成されているが、これを自社データセンターとMicrosoftのパブリッククラウド「Windows Azure」を連携させたパブリッククラウド環境に置き換える計画。オペレーションも含めてシンプルなものに刷新し、運用コストの15~20%削減を目指している。

日産自動車 執行役員 グローバル情報システム本部長の行徳セルソ氏

行徳氏によると、既存のディーラーマネジメントシステムは、車が中心に置かれたものになっているという。、新システムでは、これを顧客データ中心に変更する方針で、具体的には、過去のオーダー履歴に加えてSNSなどの情報も取り込み、来店時点で顧客を把握できるようにするほか、サプライチェーンシステムとも連携させ、納車時期などの情報もオーダー入力時に提示できるようにする。「これまでのシステムは、入力項目が多くてさまざまな無駄があるうえ、お客様の情報も少なかった。次世代ディーラーマネジメントシステムでは、運用の負担を減らしたうえで、100%の"おもてなし"ができる状況を作る」(行徳氏)としている。

また、Dynamics CRMを採用した理由については、「グローバルの機能とローカル機能を分けて管理できる」点を挙げている。日産自動車では、次世代ディーラーシステムの運用を当初は国内で開始する予定だが、順次グローバルでの利用も進めていく計画であるため、各国のローカルニーズや、各社の独自プロセスにも対応できるようにする必要があった。Dynamics CRMでは、こうした運用に簡単に対応できるアーキテクチャになっているという。加えて、スマートフォンのさらなる普及を見越し、「さまざまなデバイスに対応している」点も大きな理由の1つとして挙げられた。

次世代ディーラーマネジメントシステムは、コア機能をMicrosftが、日産自動車独自のプロセスに関わる部分を日産自動車が開発を担当する。来年12月にはパイロット版をリリースし、2013年9月に国内のディーラーに本格展開する予定。順調に行けば、2013年3月末には、国内の各ディーラーが触れられる状況になるという。その後、中国、インドネシアなど、アジアを中心にグローバルでの運用を開始する。