凸版印刷は、国内で初めて、店舗における在庫管理から顧客サービスまでトータルな運用に対応可能な小型UHF帯ICタグを開発したことを発表した。

販売・サービス業界では、商品管理の方法として、目視やバーコードで商品を1点ずつ管理する方法が主流になっているが、そうした管理方法では商品確認作業に多大な時間がかかるうえ、状況をリアルタイムに把握することが困難なため、業務効率化が求められていた。

こうした課題に対し、以前からICタグを用いた業務効率化が注目されていたが、商品の美観を損なわないためにICタグを小型化すると読み取り距離が短くなってしまったり、貼付する商品が小さいことでICタグ同士が近接してしまい干渉して安定した読み取りができなくなったりといった課題があった。特にスマートシェルフ用アンテナに対応し、さまざまな材質に貼付した場合でも安定して読み取りができる小型UHF帯ラベルタグは、これまでなかったという。

同製品は、これまで同社が培ってきたさまざまな用途におけるICタグ設計ノウハウを元に、これらの課題を解決することを目指して開発されたもので、小型ながら、約3m程度の通信が可能で、書籍やCD・DVDなど貼付対象物が変わっても、安定した性能を発揮することが可能なほか、リアルタイムな在庫管理や物品管理、不正持ち出し防止など複数のアプリケーションへの対応も可能だという。

周波数帯としてはUHF帯(EPCglobal C1G2規格準拠)で、再剥離可能な弱粘着ラベル型(製品サイズ:58mm×36mm、アンテナサイズ:48mm×5mm)を採用している。

なお同製品は2011年12月中旬より本格的な販売を開始するほか、カルチュア・コンビニエンス・クラブの次世代型店舗「代官山 蔦屋書店」で採用されており、同社では書籍やCD・DVDの販売店舗をはじめとした流通業界向けに販売を強化し、2012年度までに関連受注を含めて3億円の売上を目指すとしている。