東洋紡績は、全身性炎症反応を抑制できる抗血栓性コーティング材料「SEC-1」」を開発したことを発表した。

心臓手術を行う際に使用されるカテーテル/血液回路チューブ/カニューレ/人工肺などの医療機器は、いずれも血液に接触すると異物反応が起こり、血液の凝固や全身性の炎症反応(全身性炎症反応)を起こす。全身性炎症反応は、外傷や細菌感染などによって炎症が全身に及ぶ状態であり、手術後にも微熱や血尿などの症状となって現れる。

同社はこれまで抗血栓性材料(ヘパリン固定化コーティング材料)を開発し製品展開してきたが、ヘパリンは血液凝固を抑制する薬効を有するものの、全身性炎症反応の抑制は十分ではなかった。同材料は従来の抗血栓性に加え、全身性炎症反応を抑制し手術による患者の身体的負担を和らげる(軽減する)効果のあるコーティング材料で、動物由来の生理活性物質であるヘパリンとは異なり、合成系材料を使用しているため、生物由来材料で懸念される狂牛病(BSE)などの問題がないことが特長となっている。

また、種々の樹脂や金属で構成される医療機器の表面に対して最適化されたコーティング加工が可能という特長も有している。

なお、同社では2011年12月より、国内医療機器メーカー向けに供給を開始するほか、血液回路部材のみならず、生体適合性が必要な医療機器に幅広く展開することで、数年後には10億円の売り上げを目指すとしている。

「SEC-1」の活用イメージ