11月19日・20日にアラブ首長国連邦の首都アブダビにおいて開催された、WRO(World Robot Olympiad)2011国際大会で、レギュラーカテゴリー高校生部門に出場した愛媛県立八幡浜工業高等学校のチーム「YTH50 Endless evolution」が、金メダル(1位)を獲得した(画像1・2)。2007年の同部門で磯子工業高校の「X磯工」が獲得して以来の表彰台の頂点である。

画像1。YTH50 Endless evolutionの表彰式の様子。中東ならではの雰囲気

画像2。金メダルを獲得した、愛媛県立八幡浜工業高等学校のYTH50 Endless evolutionの3名。スポーツの世界だけでなく、エンジニア系の世界でも日本の若い世代が世界で活躍しているのは嬉しい

WROは、青少年の創造性と問題解決力育成を目的に、シンガポール国立サイエンス・センターの発案で2004年からスタートしたロボット競技会。使用するのは、世界のどの国でも入手しやすいということから、レゴ・マインドストームNXTもしくはRCXで、チームを組んで競技に挑むことになる。

今年の国際大会は、32カ国の代表300チーム以上が参加して開催。日本からは9月に開催されたWRO Japanの決勝大会で選抜された(各部門の優勝~3位などの上位チーム)小学校から高校生までの19チームが挑んだ。

競技は大別して2種類。自律型ロボットの制御を競う「レギュラーカテゴリー」(小・中・高校生の3部門に分かれる)と、NXTかRCXも利用した展示物を作ってプレゼンテーションを審査員に対して行う「オープンカテゴリー」(こちらの部門は1つだが、実際には小中高それぞれ別個に順位付けが行われる)だ。なお、トライアル競技としてサッカーや、高校生以上の学生をすべて対象とする大学生エキジビションも実施された。

レギュラーカテゴリーは、ロボットに自律的に作業をさせて与えられた課題をこなしていくのだが、小・中・高でロボットが活躍するステージの難易度が異なる。YTH50 Endless evolutionが金メダルを獲得した高校生部門は、「リサイクルロボット」というもので、制限時間120秒以内に8個のオブジェクトを指定された特徴に応じて仕分けして置いてくるという内容だ(画像3)。ちなみに中学生部門は「階段攻略」、小学生部門は「誘導ロボット」となっている。

画像3。競技中の様子。自律型の競技のため、事前にすべて準備を終えておき、後はロボットに託すだけ。競技中は見ているだけなので、なかなかハラハラする

また、そのほかのチームの成績は、レギュラーカテゴリー小学生部門で2チームが入賞(4~8位以内)し、同高校生部門で1チームが入賞。オープンカテゴリー中学生部門で1チームが入賞、同高校生部門で1チームが入賞した。今回は、金メダルが1、入賞が5と日本チームが健闘した結果となっている。

国内の参加チーム数が毎年増加しており、ここ数年は少なくても複数のチームが国際大会でも入賞を果たすようになった。今回も日本のレベルが高くなってきたことを世界にアピールできたのではないだろうか。