NECは11月7日、同社のベクトル型スーパーコンピュータ「SXシリーズ」の次世代モデルの製品化に向けた開発を開始したことを明らかにした。現行機「SX-9」の後継と位置づけされるもので、2013-2014年の製品化を予定している。

同次世代機では、CPU、ネットワーク制御部、I/O制御部の全機能を1チップに集約したオールインワン・プロセッサを開発し、現行機と比べ性能あたり消費電力1/10を目指すほか、設計の最適化などにより、設置面積を現行機比1/5に削減することを目標とするという。

また、オールインワン・プロセッサ化にあたり、CPUチップの内部アーキテクチャを刷新し、SXシリーズ初となるマルチコア化を行う予定。CPUコア間の通信時間・同期処理時間を短縮し、並列処理性能の向上を目指すほか、CPUコア部についてもベクトル演算器数を従来の2倍とし、同時に実行できる演算数を増加させる計画。さらにSX-9で搭載したソフトウェアから制御可能なキャッシュ機構を強化し、より使い易く高性能を引き出せるCPUコアの実現を目指すとしている。

加えて、先端プロセスの採用や演算処理部の最適化設計を行うことで、世界トップクラスのCPUコア性能64GFLOPSの実現を目指すほか、実効性能向上に向けてメモリ性能(メモリバンド幅)も世界トップクラスのCPUコア当たり64GB/秒にする計画だという。

なお、NECでは、これらの強化を通じて、幅広いアプケーションでより速く精度の高いシミュレーションの実現を目指すとしており、すでに国内および欧州を中心とする海外の大学や研究機関、企業などへの納入に向け、国内および欧州(ドイツ)に専任プロジェクトチームを立ち上げ、販売活動を開始したとしている。