富士キメラ総研は11月4日、カーエレクトロニクス市場に関する調査結果を発表した。2020年までの世界の自動車用電装システムや機器市場と技術動向について分析している。

レポートでは、注目分野として「ヘッドアップディスプレイ」、「タッチパネル(静電容量式)」、「ハプティックデバイス」、「車載カメラモジュール」の4つを挙げている。

これらのうち、ヘッドアップディスプレイは、フロントガラス、インパネ内、天井などに取り付けた透明パネルに各種の情報を表示する装置のこと。2010年時点では27万台/68億円という規模だったが、2020年には189万台/265億円まで成長する見込みという。

また、タッチパネル(静電容量式)に関しては、「スマートフォンの普及をきっかけに部品メーカーの取り組みが前向きになり開発・改良が続けられている」とし、2011年から本格採用が始まっていると説明している。2011年は10万枚/2億円の見込みだが、2020年には103.5倍の1378万枚/207億円になると予想されている。

一方、ハプティックデバイス(Haptic Device、力覚提示デバイス)は、仮想物体の触覚の反発感を伝える技術。「スイッチの静電容量式化が本格的に開始されるのに伴い、操作時のフィードバック感が失われ、ユーザーにとって安心感を損なう恐れがある」といい、これを改善するために、「フィードバックとしてモ-タやピエゾ結晶体の疑似振動で操作フィーリングを与えて操作感を向上させる」という。2010年時点では22万個/3億円規模だが、2020年には約50倍の4312万個/150億円になると分析している。現在は、トヨタ、ダイムラー、フォードの車両で使用。今後、GM、クライスラー、現代自動車なども搭載する予定という。

そして、車載カメラモジュールに関しては、バックモニタなどの視覚確保用、先進運転支援システムに採用される画像認識用、ナイトビジョンなどの暗視用でニーズがある。富士キメラ総研では、「北米のバックモニタカメラの搭載義務化と、日本、北米、欧州における先進運転支援システムの普及拡大が市場をけん引する」と見ており、2010年時点で886万個/333億円だったものが、2015年には3978万個、2020年には5637万個/1563億円になると見積もっている。