理化学研究所(理研)オミックス基盤研究領域のピエロ・カルニンチ チームリーダーは、University of Edinburghなどの研究者らと共同で、レトロトランスポゾンと呼ばれるDNA上を移動する可動遺伝因子が、脳のDNAを変化させることを解明した。同成果は、英国の科学雑誌「Nature」(オンライン版)に掲載された。

これらのトランスポゾンの位置をヒトゲノム上にマッピングしたところ、脳機能に影響を与える変異や脳疾患の原因となる可能性のある変異を同定することができたという。これは、脳細胞が他の細胞と違い、一生のうちに遺伝情報を変化させることを示し、個々の脳細胞が独自の遺伝情報を持つことを示した世界初の成果だという。

なお、研究グループは今後も、脳腫瘍の形成やアルツハイマー病のような神経変性疾患と、レトロトランスポゾンの活性の関連について研究を進めていくとしている。