"B級映画の帝王"との異名を持つロジャー・コーマンと妻でプロデューサーのジュリー・コーマンが29日、第24回東京国際映画祭で特別招待作品として上映された、映画『コーマン帝国』の舞台挨拶に出席した。

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4度目の来日というロジャーは「東京も大好きだけれど、妻と一緒に京都にも2回くらい行ったからな? 世界で最も美しい街の1つだと思っているよ」と日本がお気に入りの様子。過去に黒澤明監督の映画『デルス・ウザーラ』を配給した関係から「黒澤監督とは友人関係だったよ。彼がL.Aの僕の自宅に来て夕食を食べたこともある」と日本の巨匠との深い関係を明かした。1980年に製作したSF映画『宇宙の7人』は、黒澤監督の映画『七人の侍』にインスパイアされているそうで「劇中に登場する惑星の1つに"アキラ"と名前を付けたんだ」と友人にオマージュを捧げていた。

同作は、監督であり脚本家でありプロデューサーでもあるロジャーが、いかに低予算で数百本の映画を作り、世界中の映画界に衝撃を与えたかを検証するドキュメンタリー。コーマンの下で腕を磨いたジャック・ニコルソンやマーティン・スコセッシ監督ら豪華面々のインタビューも必見だ。

監督として50本、プロデューサーとして400本以上の作品を世に送り出しているロジャーだが、今回のドキュメンタリーでは被写体となった。本作の監督であるアレックス・ステイプルトンについては「彼女はこの作品に7、8年も関わっていて、私自身とても気に入っている。インタビューもまとまっているし、素晴らしい出来」と賛辞を惜しまなかったが、「監督としての自分が言いたいこともあったが、今回私は監督じゃないので、俳優に徹して我慢することにしたよ」と慣れない体験に苦笑を浮かべていた。

映画『コーマン帝国』は2012年春、新宿武蔵野館ほかにて全国公開。