米国で間もなく、C Spireという携帯キャリアがiPhone 4Sの取り扱いを開始する。おそらく、ほとんどの読者の方はこのキャリアの名前を聞いたことがないと思うが、それもそのはず、今年9月にCellular Southという全米8位の地域系キャリアが名称変更でスタートした新しいブランドだからだ。注目はT-Mobileなど他の大手をスキップして、この小さなキャリアが米国で4番目にiPhoneの取り扱いを開始したことにある。

C Spireのページにアクセスすると、間もなくiPhone 4Sが発売されるとの予告が……

C Spireの知名度が低い理由は、契約者数が90万と小さいだけでなく(全米の携帯契約数は人口3億人の9割強なので、シェアは1%未満)、米テネシー州メンフィスを中心にミシシッピ川流域だけにエリア展開を行っている地域系キャリアという点に由来する。とはいえMVNOなどの形態ではなく、きちんとAWS帯域を使ってCDMA (CDMA2000 / EV-DO)のサービス網を構築しているほか、一時期大規模オークションで話題になった700MHzの帯域を使ってのLTEサービスの計画も推進している。米国でも非常に珍しいポジションを獲得しているキャリアだといえるだろう。

米国では2007年からのAT&Tを筆頭に、今年になってVerizon WirelessとSprint Nextelも加わり、いわゆる全米3大キャリアがiPhoneの取り扱いをスタートしている。3大キャリアとC Spireの間にはまだT-Mobile USAやCricket Communications、US Cellular、MetroPCSなどの中規模キャリアが名を連ねているが、これらをすべてスキップしてC SpireがiPhoneを獲得したことになる。Sprintとの比較でも契約者ベースで40倍近い差があるC Spireだが、iPhoneの獲得契約はキャリアの市場シェアの大きさは関係ないことを意味している。

もっともミニ国家のモナコなどでは、Monaco Telecomのように全契約者数が2万人程度の携帯キャリアでもiPhoneを扱っている事例があり、契約者数が少ないキャリアがiPhoneを取り扱うこと自体は珍しくない。通信規格や周波数の問題もあるが、C Spireの例はこうした小規模キャリアでもiPhoneを扱えるということを示している。