厚生労働省は11日、第4回社会保障審議会年金部会を開催した。この中では、厚生年金の支給開始年齢の引上げの見直し例について示された。

政府の社会保障集中検討会議の審議の場においては、有識者委員や各団体、報道機関などから、支給開始年齢の引上げを検討すべきとの意見が出された。

厚生労働省では、こうしたことを踏まえ、平均寿命の延びや年齢にかかわりなく働ける社会の推進などを踏まえ、現在進行している支給開始年齢の引上げとの関係や高齢者雇用の進展の動向等に留意しつつ、中長期的に、支給開始年齢の在り方について検討することを厚生労働省案として提出。さらに、委員の求めに応じ、支給開始年齢の引き上げスケジュール案を社会保障集中検討会議に提出した。

これを踏まえて、社会保障集中検討会議でとりまとめられた「社会保障・税一体改革成案」においては、「支給開始年齢引上げ」について、先進諸国(欧米)の平均寿命・受給開始年齢を、十分に参考にし、高齢者雇用の確保を図りつつ、68~70歳へのさらなる引上げを視野に検討することとされた。

11日に開催された第4回社会保障審議会年金部会では、支給開始年齢の引き上げスケジュール案について示された。

現行の厚生年金(2階部分)の支給開始年齢は、段階的に65歳まで引き上げることとなっており、男子で1953年生まれの者から、女子で1958年生まれの人から61歳となる。

スケジュール案では、来年(2012年)60歳となる1952年生まれの人は、(自然に考えると)引上げ前倒しはできないので、1953年生まれの人から引き上げていくこととするが、従来の3年に1歳ずつ引き上げるスケジュールを前倒しし、2年に1歳ずつ引き上げる例を提示(第1の案)。

さらには、支給開始年齢が完全に65歳に引き上がった以降も、厚生年金・基礎年金とも引き上げる例を提示した(第2、第3の案)。

第2の案では、厚生年金について、現在の65歳への引上げスケジュールの後、さらに同じペースで68歳まで引上げ。併せて基礎年金についても68歳まで引上げる。

第3の案では、第1の案で前倒しを行った上で、さらに同じペースで68歳まで引上げるとされている。

ただ、厚生労働省では、「年金受給を間近に控えた者について予定を変更する内容であり、また、実際には、65歳まではもとより、65歳以降を含めた高齢者雇用や自営業者の生活の安定の確保がなされなければならず、実施のためにはその合意形成も必要」とし、「ここでは単純に見直しの例を示しているものである」としている。

支給開始年齢の引き上げスケジュール案(出典 : 厚生労働省ホームページ)