米Oracleは10月5日(米国時間)、米サンフランシスコで開催中の年次イベント「Oracle Open World 2011」でパブリッククラウド「Oracle Public Cloud」を発表した。同サービスは「Oracle Fusion」ブランドで展開する同社の業務アプリケーションの土台となるもので、同社は業界標準に準拠していることを強調している。

PaaS、SaaSを提供

Public CloudはPaaSとSaaSの2つの役割を担う。プラットフォームとして「Database Service」「Java Service」「Data Service」「Security Service」、コンポーネントとして「Oracle Fusion Customer Relationship Management(CRM) Cloud Service」「Oracle Fusion Human Capital Management(HCM)」「Oracle Fusion Talent Management」「Oracle Fusion Financials」のFusionアプリケーションが提供されする。

Oracle Public Cloudの構成

パブリッククラウドは米Amazon、米Salesforce.comなどがすでに提供を開始しているが、Oracleでは差別化要因として「業界標準への準拠」を強調する。Salesforceは独自のプログラム言語「APEX」を持ち、Salesforceのクラウド上で動くアプリやサービスの開発には同言語を利用する必要がある。

Java、BPEL、SQLなどの標準技術を利用することで、他ののクラウドとの完全な相互運用性を実現するという。「Oracle Public Cloudでは、JavaおよびOracle Databaseを書き直すことなく動かすことができるため、既存の資産を活用できる」としている。

もう1つの特徴がセキュリティだ。「Exalogic」「Exadata」などで構成する土台のインフラは完全なマルチテナントを実現しており、仮想化技術を利用して専用のリソースを割り当てると同時にデータとシステムを隔離する。

Fusion CRMとFusion HCMの特徴

では、SaaSとして提供されるFusion CRMとFusion HCMの詳細を見てみよう。

Fusion CRMは、プランニング、見通し、コラボレーション、クロージングと営業の4つのステップを支援するアプリケーション。BIを組み込むことで深い洞察を得られ、各ステップを効果的に進めることができる。プランニング段階では、精度の高いフォーキャストを作成したり、営業地域管理と割り当て管理を統合したりすることで、リソースの配分を最適化できる。また、顧客と製品のマスターデータをCRMプロセスに統合することで、幅広い顧客情報が得られる。

Fusion HCMとTalent Managementは人事関連アプリ。HCMは中核となるHR、ペイロール(給与計算)、手当てや給付金の管理などをクラウドで利用することを可能にするもの。従業員のダッシュボード経由で情報や目標の管理/追跡/分析、インタラクティブなチャートを利用しての人材配置や管理、社員数/予算/コストを集めた単一画面でのプランニングなどが可能。

Oracle Open Worldの会期中、Fusion Applicationsの一般提供が開始された。Fusion Applicationsは同社が過去に買収してきたPeopleSoft、JD Edwardsなどの技術と自社業務アプリケーションスイート「Oracle E-Business」などを組み合わせたもので、人事、財務など100以上のモジュールを持つ。デスクトップだけではなく、「iPad」「iPhone」などのモバイルにも対応、オンプレミス、クラウド、SaaSで実装できる。