新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と高知工科大学は、ZnOの早期実用化を目指す希少金属代替材料開発プロジェクトにおいて、ZnOを共通電極として実装した20型LEDバックライト液晶テレビを試作し、連続駆動評価試験を実施したことを明らかにした。これにより、Inの使用量を50%以上減らしつつ、鮮明な画像を実現できることが確認され、将来的にはInを一切使用しない液晶テレビを実現できる可能性がでてきたという。

試作した液晶テレビの共通電極はInの代替率100%を達成しており、画素電極と合わせても、Inの使用量を50%以上減らしつつ、画質を向上させることが可能になったという。

ZnOはITOに比べ透明性能が高く、パネルのバックライトからの光も効率よく通すという。そのためITOでは光の色によっては透明性能が落ちるが、ZnOを用いた透明電極ではそうした問題を解決できるため、より鮮明な表示が可能になるとのことで、今回は、連続駆動評価試験によるパネル機能の信頼性も確認したこともあり、ZnOを用いた大型液晶パネルの実用化のめどが立ったと説明している。

液晶ディスプレイの構造と今回試作したLEDバックライト液晶テレビ

なお、ZnOを用いた透明電極は、液晶パネルのみならず薄膜太陽電池やガスセンサ、紫外線センサなどの環境情報を取得するタイプのセンサ、タッチパネル、電磁波シールドなどにも応用が可能であり、ガラス基板のほか、プラスチック基板などへの適用も可能なため、低コストなプロセスの実現も図れることから、今後はそうした装置技術の開発なども進めていく計画としている。