シャープとI3研究所は9月29日、フルハイビジョン信号の4倍の高精細な解像度(3,840×2,160画素)を持つ、次世代の「ICC 4K 液晶テレビ」の試作、実用化に向けた開発を共同で推進していくことを発表した。

従来、テレビは、放送される電気信号から、ベースバンドHD信号と呼ばれるカメラの出力電気信号に戻すことで映像を表示していた。ICC(Integrated Cognitive Creation:統合脳内クリエーション)は元ソニーA3研究所長の近藤哲二郎氏が代表取締役を務め、出井伸之氏が代表取締役 ファウンダー&CEOを務めるクオンタムリープのほか、ソニーとシャープが出資しているI3研究所が開発している技術で、単なる電気信号の再現では無く、液晶パネル性能を最大限に引き出すことで、カメラに入ってくる光情報を再現し、空間を創造しようというもので、これにより、映像を通して実際にその場にいるような体験が得られるようになるという。

今回の"ICC 4K 液晶テレビ"試作機は60V型 4K 液晶パネルを使用して、I3研究所の光のクリエーション技術であるICCと、シャープがAQUOSで培った大画面・高精細液晶技術を統合しようという試み。

これにより、単なる映像信号処理の高画質化だけでなく、パネル制御技術を組合せることで、人間が自然の景色や被写体を光の刺激として脳で理解する「認知」の過程を、映像による光の刺激として再現できるようになるとシャープでは説明しており、遠近感のある風景や人物の立体感、質感などを自然界に近い状態で画面上に表示し、新たな映像体験を視聴者に提供できるようになるという。

ICCと従来技術の比較