STMicroelectronicsは、3G対応ワイヤレス機器用アンテナ向け電力制御用IC「CPL-WB-00D3」および「DCPL-WB-00D3」を発表した。

最近のマルチバンド対応の携帯電話やスマートフォン、タブレット、3G USBドングルなどは、環境の変化に合わせて常にトランミッタの電力を調整し、ネットワークとの接続を最適化しており、これによりネットワーク接続の信頼性が確保されるほか、アンテナ電力の調整によりバッテリの最大限の長寿命化が図られている。

また、アンテナ・カプラがアンテナによって放射される電力をモニタし、この恒常的な調整を実行している。従来の多くのカプラは順方向のアンテナ放射電力のみを測定しているが、今回の2製品は反射電力も測定するため、制御機能と効率が向上すると同社では説明している。。

2製品はシングルおよびデュアル・アンテナ・システム用に開発された、シングル・パスとデュアル・パスのアンテナ・カプラで、独自のIPD(Integrated Passive Device)技術を採用し、他のカプラでは外付けで必要となる2個の減衰器を集積しているため、回路設計の簡略化と共に、コストと基板スペースの低減が可能となっている。

また、代替技術であるLTCC(Low-Temperature Co-fired Ceramic)テクノロジーと比較した場合、絶縁ガラス基板加工とウェハ・レベルのパッケージングにより、製品全体の低背化とフットプリントの小型化を実現しており、従来製品比で83%以上の小型化が図られている。

定格入力/出力インピーダンスはいずれも50Ωで、動作周波数範囲は824MHz~2170MHz、挿入損失は0.2dB未満で、カップリング因子34dB(標準値)、指向性25dB(標準値)となっている。

なお、2製品ともにすでに量産出荷を開始しており、単価は1000個購入時に「CPL-WB-00D3」が約0.215ドル、「DCPL-WB-00D3」が約0.305ドルとしている。

3G対応ワイヤレス機器用アンテナ向け電力制御用IC「CPL-WB-00D3」および「DCPL-WB-00D3」