9月28日。早朝は薄曇りだった空が9時前になると一気に晴れた。世界で最初に運航されるボーイング社の最新中型機787の来訪を祝うかのような劇的な空の演出である。到着時間が近づくと、機体が視界に入った。はじめは小さな点にしか見えなかった機体が徐々に大きくなる。晴天を反映してか新しいからか、ピカピカに光る機体にはANAの印象的な特別塗装が施されている。9時2分。787の記念すべき1号機は、羽田空港C滑走路になめらかに着陸した。

ANAは787の1号機と2号機に特別塗装を施す。機体の前部に「787」の文字を、後部にはANAのネットワークとプロダクトブランドを表す藍色のラインをペイント

左から樋上一誠、早川秀昭、有村総一郎の各機長。3人とも今年9月6日に787のライセンスを発行された

操縦を終えて記者会見場に現れた早川秀昭機長は、「従来の飛行機は乱気流があると少し跳ねる感じがするが、787は気流に沿うように飛んでくれた」と話した。つまり、それは揺れが少なく、より滑らかな運航が可能ということであり、乗客にとっては乗り心地がよりよくなったわけだ。

また、機内にはバーカウンターが設置され、4席並びのエコノミークラスの真ん中にアームレスト(肘掛)を2つ設置して広くするなど、快適さを向上させる工夫が随所に施されている。さらに787は、数パーセントから場合によってはゼロにもなるほど乾いた機内に湿気を送って乾燥度合いをより小さくし、従来よりも機内気圧を800mほど地上に近づけて気圧差による不快感を和らげ、エンジンの改良によって騒音を驚くほど抑えているなど、革新的な技術を実現した中型旅客機でもある。

報道陣に初公開された787の機内。照明はLEDを使用

ANAの787は今後、今年10月26日発の成田 - 香港のチャーター便で世界初の営業フライトを、同月28日、29日に成田発着の遊覧飛行を、30日に被災地の復興フライトを行い、11月1日から羽田 - 岡山、広島両路線の国内定期便に就航。12月からは羽田 - 北京線で国際定期路線にも就航する予定だ。

機内の詳しい様子等は後日紹介する。

従来より1.3倍大きく造られた窓。座席と比べるとその大きさが分かる