ノートン サイバーセキュリティ
リードアドバイザー
アダム・パーマー氏

シマンテックは9月13日、世界最大規模のネット犯罪調査「ノートン ネット犯罪レポート」を発表した。同日行われた記者発表ではノートン サイバーセキュリティ リードアドバイザーのアダム・パーマー氏が発表内容の説明を行った。

同レポートでは、世界のネット犯罪の被害額を初めて試算している。その結果、被害額は年間1140億ドル。これは被害にあった金額や解決に費やした金額の総額で、被害者の申告によるネット犯罪で失われた時間の対価を換算するとさらに2740億ドルの損失が加わるという。

日本においては、昨年ネット犯罪の被害に遭った人は1150万人。直接的な金銭的被害総額が1842億円、犯罪解決に費やされた時間の損失が6524億円となっている。

また昨年中に、世界の成人のネット犯罪被害者総数は4億3100万人で、その金銭的被害総額と時間的損失の合計は3880億ドルとしている。

同レポートによると、成人のインターネット利用者の3人に2人以上(69%)が、なんらかのネット犯罪の被害に遭っているとしており、これは毎秒14人、毎日100万人以上がネット犯罪の被害に遭う計算になるとしている。日本では、成人ユーザーの10人中4人(38%)がこれまでにネット犯罪に遭ったことがあると回答している。

毎日100万人以上がサイバー犯罪の被害に

毎秒14人、毎分820人、毎時5万人がネット犯罪に遭遇

世界規模で見ると、成人ユーザーの10%が携帯電話によるネット犯罪に遭ったことも明らかになった。実際、同社の「シマンテック インターネットセキュリティレポート第16号」は、2009年に比べて2010年には携帯電話の脆弱性が42%増加したと報告している。

これは、ネット犯罪者がモバイル空間に活動の場を移し始めたことを示唆しているという。携帯OSの新たな脆弱性の報告は、2009年の115件から2010年の163件に上昇。携帯端末への脅威に加えて、ソーシャルネットワークの隆盛と保護対策不足もネット犯罪被害者数が増加している原因となっていると考えられるとしている。

またレポートでは、18歳~31歳で携帯電話からインターネットにアクセスする男性が被害に遭う可能性が高いことも明らかにしている。この層は、5人に4人(80%)がこれまでにネット犯罪の被害に遭っている。

ネット犯罪の種類としては、コンピュータウイルスとマルウェアがもっとも多く、回答者の54%がこれまでに経験があるとしている。オンライン詐欺の11%、フィッシングの10%がこれに続く。

アダム・パーマー氏は説明の中で「多くの人が、防止・回避可能なネット犯罪にあっている。適切なセキュリティ対策を個々人がとることが大切だ」とコメントした。

なお、同レポートは、2011年2月6日~3月14日の期間に行われた、調査会社ストラテジーワンによる日本を含む24カ国の、18歳以上の成人12,704名、8~17歳の児童4,553名、教員2,379名へのインタビューをもとにしている。全世界および国別の詳細は、同社Webサイトで公開されている。