デザイン・ゲートウェイ(DG)は9月12日、シリアルATA(SATA)3.0の6Gbps転送に対応した、Alteraの40nmプロセスFPGA「Stratix IV GX」向けSATA-IPコアの出荷を開始したことを発表した。

デザイン・ゲートウェイ マネージャーの石川康彦氏

「SATA対応のHDD、SSDともに価格下落が続いており、組み込み分野でもフラッシュメモリの代わりにSATAのドライブを活用したいとうニーズは高まっている。しかもSSDへ移行しようと思うと、SATAの性能がボトルネックになることを考えれば、同IPは十分な訴求力になる」(デザイン・ゲートウェイ マネージャーの石川康彦氏)という。

実際に組込機器へのSATAの実装方法は2つ。1つはSATAコントローラを搭載したASSPを用いる方法。もう1つがFPGAにIPコアを搭載して用いる方法だ。前者はチップ単価は低いが、MOQ(Minimum Order Quantity:最小注文数量)が数千から数万、時には数十万というオーダーからということが多く、またデータシートもそうした大口顧客向けにのみ開示されることが多いほか、サポートもそうした大口顧客が優先されることが多い。

後者のFPGAへのIPの搭載は、FPGAの単価はASSPに比べて高いものの、プロトタイプ作製にFPGAが良く用いられることを考えれば、その延長線上での活用という意味では「価格は相殺できると思われる」(石川氏)であり、組込機器として、さまざまな機能をFPGA1チップ内に詰め込みたいというニーズにはマッチするとしている。

SATA対応のSSDとHDDの概要

今回提供されるSATA3のIPコアはStratix IV GXのGXB(高速シリアル通信機能ブロック)を用いてSATAチャネルを実装しようというもの。IPコアはLink層を実装(Transport層の一部を含む)しており、Link層の上下層となるPHY/Application/Transport層についてはリファレンス・デザインで提供される。これは、「例えばBISTを組み込みたいというニーズがあった場合、PHY層にダイレクトにアクセスする必要があり、その場合、結局PHY層の開発を行わなくてはいけなくなる。そうしたことを考えると、リファレンスとして提供しておくのが妥当と判断した」(同)と説明する。

また、同IPコア1つで、ホスト側とクライアント側の双方に対応可能だ。入力ビットを切り替えるだけで、どちらにでも対応することができるようになっている。

SATA-IPコアの概要

さらに、カスタマがスムーズな開発に移れるようにStratix IV GXボード上で実機動作可能な無償評価ファイルデータを用意。リード/ライト、ダンプ機能などが搭載されており、Alteraの開発ソリューション「Nios II」を用いて実行可能となっている。Stratix IVを搭載した評価ボードにはリファレンスデザインが搭載され、IPコア以外のPHY/Application/Transport層もHDLにて提供されるほか、Nios IIのファームウェアもCのソースコードで提供されるため、実機で動作を確認しながら、短期間での開発が可能だという。

実際のAlteraのStratix IV GX評価ボードとSATAのドータボード。いづれもAlteraの代理店から入手可能。ちなみにStratix IV GXボードの方は参考価格ながら米国での販売価格は4,495ドルとなっている

加えて、別売りでPCI Express(PCIe)とSATAのインタフェースを変換するボードも別売りで用意。これにより、最大8台までのRAID構成による開発も可能になるとう。

実際の適用アプリケーションとしては民生機器のほか、産業機器や医療機器でも高精細な画質を求める4K2Kなどのハイビジョン以上の画質を実現するカメラを中心に考えている。「特に4K2Kの次世代ハイビジョンカメラのデータ転送レートは2GB/sと言われており、これを実現するためにはSATA3.0(理論値600MB/s)を4台RAID構成で組み、2.4GB/sとすることで対応できる」と、次世代ハイビジョンにも対応できることを強調する。

評価ボードを用いて、開発に入る前に実際の性能を確かめることが可能だ。上記の写真の構成の場合のデモでは、SSDにはOCZの「Agility 3」60GBモデル「OCZ AGT3-25SAT3-60G」を用いて、1GBのデータ書き込みで448MB/s、同容量のデータ読み込みで562MB/sのほぼ理論上限に近い値を達成していることが確認できた

なお、同IPコアのほか、同社では同じくAlteraのFPGA「Arria II GZ」向けにもSATA3.0対応IPコアの開発を進めており、今回のIPコアの立ち上げおよびカスタマサポートを第一としつつ、そちらも開発を行っていきたいとしている。