京都大学(京大) 正高信男 霊長類研究所教授の研究グループは、人間がまだ子どもの段階で、視覚探索によってヘビをすばやく見つけるのに、色の情報が重要である事実を実験的に明らかにした。同成果はNPG(Nature Publishing Group)のオープンアクセス誌「Scientific Reports」に掲載された。

哺乳動物の中で、人間のような高度に色覚を発達させた種は限られており、類人猿とアジアアフリカに棲むヒヒやニホンザルの仲間だけで、 中南米のサルやキツネザルなど原猿も未発達である。

しかし、その色覚の進化が何を目的としたものであるのかについては、これまで不明で学説としては熟した果実をみつけやすいため、というものがあるが、推測の域を出ないものであった。

同研究グループは今回、人間がまだ子どもの段階で、視覚探索によってヘビをすばやく見つけるのに、色の情報が重要な役割を果たしている事実を実験的に明らかにした。

刺激の一例。左2枚はカラーの場合。右は白黒

実際の実験風景

研究グループでは、哺乳動物でヘビを「本能的」に恐れるのは、サル類でも色覚の発達した種に限られており、この一致は偶然とは考えられず、捕食動物の危険にもっともさらされる幼児期に、色覚を持つことで我々の祖先は生存確率を高めることに成功したのだと考えられると説明している。

4歳児から6歳児の白黒およびカラーの写真での、ヘビと花を検出する反応時間の比較