東京医科歯科大学は8月26日、オランダ国立がん研究所との共同研究で、世界で初となる「スキルス胃がんのマウスモデル」を作成したことを発表した。

研究を手がけたのは、同大学大学院医歯学総合研究科・分子腫瘍医学分野の湯浅保仁教授の研究グループら。同研究は、文部科学省科学研究費補助金、日本学術振興会日中韓フォーサイト事業ならびに高松宮妃癌研究基金の支援のもとで行われ、その成果は国際科学雑誌「Gut」に8月26日付けでオンライン版に発表された。

胃がんは、世界でも日本でもがんによる死亡原因の2位となっている。特にスキルス胃がんは予後が悪く、早急な対策が必要とされている具合だ。ただし、発症機構は明らかになっておらず、がん抑制遺伝子「E-カドヘリン」と「p53」がカギを握るとされている。

研究グループでは、Atp4b-Creマウス、Cdh1-loxPマウス(Cdh1遺伝子はE-カドヘリンをコード)、Trp53-loxPマウス(Trp53遺伝子はp53をコード)の3種類の遺伝子改変マウスをかけ合わせ、世界初となるE-カドヘリンとp53が胃の細胞壁においてノックアウトされる、「DCKO(double conditional knockout)マウス」を作成して実験を行った。

結果、1年以内に100%の頻度でヒトのものとよく似たスキルス胃がんを発症することが確認された。スキルス胃がんの発症にはE-カドヘリンとp53の両方が確実に関与しているといえる結果である。また、DCKOマウスでは浸潤性が強い胃がんが生じるだけでなく、リンパ節転移も高頻度に認められた。

研究グループは、これらのマウスはスキルス胃がんの発症機構の解明に有用なことに加え、スキルス胃がんに対する新規治療薬や予防法の開発にも使えるとしている。

3匹の遺伝子改変マウスをかけ合わせて誕生したDCKOマウスは、胃の細胞壁のE-カドヘリンとp53がノックアウトされるという特徴を持つ。1年間生育して観察した結果、100%でヒトのものににたスキルス胃がんを発症した

DCKOマウスのスキルス胃がんの特徴は、浸潤性が強いこと(左)と、リンパ節転移(右)が高頻度に認められることであった