Microsoft Windows 8

Windowsエンジニアリングチームは8月22日(米国時間)、Windows 8で登場することになる「USB 3.0」の開発状況を報告した。USB 3.0は特に今後大きく普及が期待される次世代USB規格。USB 2.0の10倍の高速通信が可能であるほか、パワー管理が改善されているため、従来は別電源が必要になるようなUSBデバイスも電源なしで利用できるようになり、さらに低電力機能を活用することで消費電力も削減されるという特徴がある。説明によれば2015年には新しく販売されるすべてのPCがUSB 3.0のポートを搭載し、2015年だけで20億個のUSB 3.0対応デバイスが販売されるという。Windows 8で「USB 3.0」に対応するのは、Microsoftとしては必然というわけだ。

Windowsが最初にUSBに対応したのは、「Windows 95 OSR2」のときの「USB 1.1」となる。「USB 2.0」に対応したのは「Windows XP SP1」だ。USB 3.0はこれまでと比較しても開発は大変なものとなる。MicrosoftではUSBホストコントローラが登場する前の段階から、ソフトウェアを使った仮想デバイス環境を用意してUSB 3.0スタックの開発に着手している。

Microsoftは新しくUSB 3.0ソフトウェアスタックを開発するにあたって、既存のUSBスタックを拡張する方法ではなく、新しくUSB 3.0スタックを開発する方法を選択。新しいコントローラに対しては新しいUSBスタックで対応するとしている。インタフェースと振る舞いは従来通りのものを採用することで互換性を確保。なお、古いコントローラに対しては従来のUSBスタックを利用するとしている。無用の動作変更を避ける狙いと、実装を分けることで開発上の複雑さを軽減する狙いがあるものとみられる。

開発したUSB 3.0スタックの試験には、常時1,000ほどのUSBデバイスを用意して使っていると説明がある。現存するUSBデバイス、USBチップセットの組み合わせを考えると、すべての組み合わせをテストするのは現実的ではない。MicrosoftではUSBデバイスの利用状況を分析し、少数のメーカが展開する少数の主要製品シリーズが全体の70%から80%を占めていること、USBチップセットも同様であることから、試験する組み合わせを絞り込み、結果的に1,000ほどのデバイスをテストすることで多くのシナリオをカバーしているという。

報告には開発機で実際にUSB 3.0を使っている様子も動画で掲載されている。HTML5ビデオとして公開されているため、SilverlightやFlashプレーヤが導入されていない環境やiPadなどのデバイスでも、HTML5ビデオに対応したブラウザであれば閲覧できる。動画では、USB 3.0対応のフラッシュメモリがかなり高速にコピーを実現していることを確認できる。