ムーディーズ・インベスターズ・サービスは24日、日本政府の格付をAa2からAa3に引き下げた。今回の引き下げは、5月31日に開始した引き下げ方向での格付見直しの結論という。格付の見通しは安定的。

ムーディーズ・インベスターズ・サービスによると、今回の格下げは、多額の財政赤字と、2009年の世界的な景気後退以降の政府債務の増加を受けたもの。債務残高の対GDP比上昇の抑制を困難にしているいくつかの要因があることが、今回の格付アクションの根拠となったという。

ムーディーズ・インベスターズ・サービスでは、過去5年にわたり首相が頻繁に交代したことが、長期的経済・財政戦略を効果的で一貫した政策として実行に移す上での妨げとなってきたと分析。3月11日の地震と津波、その後の福島第一原子力発電所の事故が、2009 年の世界的景気後退からの回復を遅らせ、デフレを悪化させたとしている。

また、「経済成長見通しの弱さが、赤字削減目標の達成と、社会保障と税の一体改革成案の実施を一層困難にしている」としている。

安定的の見通しは、弱まりをみせない日本の投資家の国内投資志向と国債選好を背景として、政府は財政赤字を補填する資金を世界で最低水準の名目金利で調達できることを根拠としている。

この有利なコストでの調達は、日本の顕著な制度的および構造的強さによって引き続き支えられ、2011年度および2012年度に多額の財政赤字が発生しても、調達コストの優位性は持続するとムーディーズは考えている。

今回の格付アクションは、日本の債務・銀行預金のカントリー・シーリングAaaには影響を与えず、これらの見通しは安定的を維持する。シーリングは、国内に居住する他の発行体の債務に付与されうる格付の上限となる。短期債務格付は影響されず、P-1 にとどまる。