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携帯電話全米3位の米Sprint Nextelが、全米でWiMAXによる高速データ通信サービスを提供する米Clearwireの買収計画を進めていると、米Bloombergが8月20日(現地時間)に報じている。現在のClearwireは、SprintのWiMAX事業「Xohm」と旧Clearwireの「Clear」を合弁する形で誕生したもので、Clearwire株式の過半数もSprintが握っている。Sprintは新Clearwire誕生時に増資に参加した企業らの賛同を募り、Clearwireの完全子会社化を計画しているという。その狙いは、Verizon WirelessとAT&Tの携帯大手2社との差が広がるなか、第4世代のLTEへの継続投資など、競争での生き残りが主眼にあるようだ。
3Gに次ぐ次世代の無線データ通信網を整備するため、Sprintは「Xohm」ブランドでWiMAXサービスを全米展開していた。一方で著名起業家として知られるCraig McCaw氏率いるClearwireは、次世代でのデータ通信需要急増を見込み、やはりWiMAXに特化したデータ通信網を全米で整備していた。だがカバーエリア拡大とともにエリア重複やユーザーの事業者間ローミング問題が現出するようになり、最終的に両社は投資の効率化を目的にサービスを「Clear」として一本化、両社の事業を継承した新生Clearwireとして2008年にビジネスを開始した。新生Clearwireスタートにあたっては、Intel、Google、Comcast、Time Warner Cable、Bright House Networksらが資本参加し、株式の5割超をSprintが、3割弱を旧Clearwire、2割強を残り5社で持ち合う株主構成とした。Bloombergによれば、SprintはClearwireの完全買収にあたってComcast、Time Warner Cable、Bright House Networksら3社の協力を得、残り株式の取得を目指しているという。
問題となるのは今回のSprintによるClearwire買収の狙いだ。前述のようにClearwireはWiMAX専業ベンダーであり、SprintはClearのネットワークに相乗りする形で4Gサービスの提供を行っている。例えば同社が販売しているHTC EVO 4Gは、4G部分の接続にClearのネットワークを回線卸しの形で利用している。日本でいえば、ちょうどKDDIのauとUQ WiMAXの関係にあたる。SprintはClearのWiMAXを利用する一方で、自身では4G世代に向けてLTEのネットワーク整備を目指しており、Clearはそれまでのつなぎ、あるいは負荷分散の役割として考えているとみられる。またClearwire自身も、今月初めにWiMAXと並行してLTE Advancedの整備を行っていくことを表明している。この2つを考えれば、Sprintは買収でWiMAXの回線卸し事業を手元に抱えつつ、やはりLTEに向けた投資とネットワーク整備の効率化が狙いなのだと考えられる。
これはライバルへの対抗の意味合いもある。全米最大手のVerizon Wirelessはすでに商用LTEサービスをスタートしており、AT&Tも今秋よりLTEの商用サービスを地域限定でスタートする。VerizonとAT&Tはそれぞれ契約者数ベースで約1億を抱え、僅差で競り合っている。一方でSprintの契約者数は約5000万と両社に大きく引き離されており、もしAT&Tによる全米4位の米T-Mobile USA買収が成立した場合、ネットワークの技術世代でも顧客数でも大きく引き離されることになる。Clearwireの吸収は、こうしたライバルへの対抗と危機感が根底にあるとみられる。
またSprintによるClearwire買収が成立する場合、AT&TによるT-Mobile USA買収に与える影響も大きいと考えられる。AT&TがT-Mobile USAを買収した場合、Verizon Wirelessを頭1つ抜いて顧客数全米1位の巨大キャリアが誕生することになる。そのため、Sprintを含むライバルらはAT&TによるT-Mobile買収阻止に向けたロビー活動を行っており、米連邦通信委員会(FCC)による審査が長引く原因にもなっている。一方でAT&Tは買収に向けた足固めのため、独占禁止法などの観点から一部資産売却を進めているほか、買収阻止に向けた集団訴訟を行っている弁護士団体を逆提訴するなど、着々と準備を進めている。もしSprintがClearwireを買収する場合、こうしたAT&Tの行動への後押しになるのではないかとみられる。AT&Tの携帯電話事業の基となったAT&T Wirelessは、もともとClearwire創業者であるCraig McCaw氏が興した米国初の商用携帯電話会社に端を発するものだが、それが数十年の時を経ていま再び米国の携帯電話の変革の中心にいるというのも興味深い話だ。
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