IBM、脳の知覚や認識力などを模した自発認識が可能な半導体チップを開発

IBMは、脳の知覚や認識力などを模した実験用半導体チップを開発したことを発表した。同チップを実用化した場合、従来の半導体チップに比べて、性能を維持しつつ大幅な消費電力の削減と省スペース化が可能になるかもしれないと同社では説明している。同研究は2008年よりDefense Advanced Research Projects Agency(DARPA:米国国防高等研究計画局)の「the Systems of Neuromorphic Adaptive Plastic Scalable Electronics(SyNAPSE) project」として進められてきたもの。

同チップは現在、2つの試作品が作られ評価を受けている段階にあり、生物におけるシナプスとスパイキングニューロン(Spiking Neuron:ニューラルネットのモデルの1つで、論理回路の機能を実現できる)の間で生じる現象を模したもので、アルゴリズムを介して脳のように振舞うことが可能であり、「cognitive computer(自らが認識能力を有するコンピュータ)」として、従来のようなプログラムで動作するのではなく、シナプスの可逆性と脳の構造を真似ることで、物事の相関関係を見つけ、仮説を立て、その結果を学習することが可能になるという。

具体的な回路としては有機材料ではなく45nm SOI-CMOSプロセスと256本のニューロンで構成されており、イーストフィッシュキルの同社の300mmウェハ対応工場にて、1コアに26万2144個のprogrammable synapsesを搭載したものと、6万5536個のlearning synapsesを搭載したものが作製された。

IBMではすでに同チップを用いた簡単なナビゲーションやマシンビジョン、パターン認識、連想記憶、分類などのアプリケーションデモを行っており、それらのデモにより、従来のようなプログラムなしのイベントドリブン型でかつ、分散/並列処理が可能であることを確認したという。

なお、すでに同研究はDARPAより2100万ドルの資金を得てフェーズ2へと移行しており、IBMおよびColumbia University、Cornell University、University of California、Merced、University of Wisconsin、Madisonなどが参加して研究が進められており、IBMでは将来的な目標として100億のニューロと100兆のシナプスを2リットル以下の容量と1kW程度の消費電力で動作可能なシステムの実現を目指すとしている。

IBM Research - Indiaが2010年に発表したマカクザルの脳のネットワーク図。383の領域が6602個の神経接続により構築されている。この発見により脳における情報の移動の仕方や、脳の振る舞い、計算方法などの理解が進んだと同社では説明している

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