iPhone 4

スマートフォン販売台数でSamsungがAppleを抜いたという話をマイコミジャーナルでも紹介したが、スマートフォンの世界でAndroidがマジョリティになるというトレンドの一方で、iPhoneはいまだコンスタントに着実に売れ続けているという現実がある。今年、例年とは異なりiPhoneの新製品が6-7月にかけてリリースされることはなかったが、9月の新製品発売の噂を前にしてなお一定以上の水準で製品は売れ続けている。

iPhoneが販売台数面で強固な地盤を築いていることを指摘しているのはAll Things DigitalのJohn Paczkowski氏だ。現在米国ではApple、AT&T、Verizon Communications (Verizon Wireless)の3社の決算が出たばかりで、2011年第2四半期(4~6月期)までのiPhone販売についてのデータが出揃っている。

それによれば、同期におけるAT&TのiPhoneアクティベーション数は360万台で、前年同期の320万台から1割強のアップ、Verizonは230万台のアクティベーション数だった(Verizonは今年2月からiPhoneの販売をスタートしたばかりのため、比較対象がない)。両社の過去のアクティベーション数の推移とiPhone以外のスマートフォン販売台数の推移についてはPaczkowski氏の記事のグラフを参照するといいだろう。2011年前半の両社のiPhoneアクティベーション数合計は1,170万台で、これは2010年の1年間を通じたAT&TのiPhoneアクティベーション数合計まであとわずか350万台の水準に達しているという。9月にiPhone新製品が登場して大幅に売上が増加することを考慮すれば、最終的に昨年の水準を大幅に上回ることになるのは想像に難くない。iPhoneの売上が年ベースで着実に伸びていること、そして提供キャリアが広がったことが販売機会の拡大につながっていることが読み取れる。

Morgan KeeganのアナリストTavis McCourt氏によれば、国内外を問わずiPhoneの売上は好調で、今四半期は年率118%の成長率を記録しているという。同氏がなにより強調するのは「発売後1年が経過した製品」でいまだ好調なセールスを記録していることだ。性能向上が著しく、OS本体が半年でリフレッシュされるAndroidでは、端末の急激な陳腐化や低価格化が起こりやすい。一方でライバルとなるiPhoneは発売後1年経っても製品としての魅力はそれほど色あせず、わずかな値下げを通していまだ最前線で戦えているということだ。しかも製品の販売台数の上昇率は年々上がっており、2008年の1,160万台、2009年の2,070万台、2010年の4,000万台とほぼ倍々ペースになっている。そのうえ2011年については集計半年の時点で5,520万台を記録しており、しかもそれは新製品リリースを直前に控えた時点のデータである。おそらく昨年の倍の水準を上回ることはほぼ確実で、栄枯盛衰の激しいスマートフォン業界において非常に長寿なシリーズ製品となっている。