野村総合研究所は6月30日、全国の大手企業3,000社を対象に実施した「震災後のBCP(事業継続計画)に関するアンケート」の結果を発表した。同アンケートでは、震災による被害やBCPの策定などについて聞いている。

回答した企業(423社)のうち、「本社」に被害があったという回答は16%(大半が3日以内に復旧)と比較的少ないが、「支社・支店・営業所」(55%)や「工場」(43%)に被害を受けた企業は約半数に上った。復旧に1ヵ月以上の時間を要した拠点を持つ企業が「支社・支店・営業所」で12%、「工場」で12%ある。

また、26%の企業が「重要な業務が停止した」と答えており、「一部(重要でない)業務が停止した」(29%)を含めると、55%の企業で何らかの業務停止が発生している。重要な業務が停止した企業のうち、21%に当たる企業では停止期間が「1ヵ月以上」に及んだ。

多くの企業が重要な業務が停止した理由として、「停電のため」(62%)、「業務に必要な生産拠点が利用できなかったため」(45%)、「取引先の業務停止などにより、必要な調達・供給が行えなかったため」(44%)を挙げている。

要業務が停止した理由(重要な業務が停止した企業で集計、複数回答) 資料:野村総合研究所

BCPについては、2007年10月に実施した同社アンケート調査では、BCP策定済み企業が29%、策定中の企業が36%だったが、今回の調査では、東日本大震災発生の時点でBCPを「策定済みだった」(49%)、「策定中だった」(17%)と、回答した企業の3分の2はほぼBCPの準備を終えつつあったようだ。

今回の震災でBCPが機能したかどうかを聞いた質問では、「十分機能した」という回答は7%止まりだった。「概ね機能したが、一部に問題があった」という回答が78%を占め、「ほとんど機能しなかった」と答えた企業が15%いた。

ただし同社では、BCPの品質を決める3要素である「重要な業務・サービスの絞り込み」、「重要な業務・サービスの目標復旧時間の設定」、「国・自治体等の想定被害を踏まえた、事業停止時間の想定」を、検討していた場合としていなかった場合で評価が大きく変わることがわかったと指摘している。