IDC Japanは6月28日、国内クラウドサービスの市場予測を発表した。これによると、2011年の同市場規模は前年比成長率45.6%増の660億円となる見込み。

同社は、「東日本大震災の影響で企業のリスク管理に対する意識は高まっており、電力不足に対する懸念からも事業継続性の強化を図るためにクラウドサービスに対する需要は急増加している。しかし、にわかにクラウドサービスの検討を始めた企業にとって、標準化されたサービスというクラウドサービスの特徴が導入障壁となっている」と指摘している。

クラウドサービスを活用するには、業務プロセスやITアーキテクチャの見直しが欠かせないが、これらの見直しには時間を必要とするため、結果として、短期間では比較的に導入の容易なデータバックアップ、コミュニケーション手段の強化として、クラウドサービスの利用が促進されているという。

同社は、「大震災の影響は短期的には国内クラウドサービス市場規模を大きく押し上げる要因とならないが、クラウドサービスの優位性を訴求する重要な機会であり、中長期的には、国内市場の成長を加速させる要因となる」としている。

今後の同市場は2010年~2015年の年平均成長率は41.3%で推移し、2015年の市場規模は2,557億円になると予測されている。2015年の市場規模予測は、2011年3月時点(大震災前)の調査結果と比較して、600億円以上の上方修正となった。

国内クラウドサービス市場 セグメント別売上額予測(2010年~2015年) 資料:IDC Japan