アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)と同社販売代理店組織であるアフラック全国アソシエイツ会が共同設立した「公益信託アフラックがん遺児奨学基金」はこのほど、2011年度の新規奨学生120人を決定した。

「公益信託アフラックがん遺児奨学基金」は、がんで主たる生計維持者を亡くし、経済的理由から修学の機会が狭められている高校生への支援を目的としたもの。月額25,000円(年額30万円)の奨学金を、高等学校など卒業の最短修業年限の終期まで給付し、卒業後の返還は不要。また、他奨学金との併用の有無は問わない。なお、2012年度の新規奨学生の募集開始は、今年11月を予定している。

同基金は公益信託方式を活用し、アフラックとアフラック全国アソシエイツ会からの当初信託財産1億50万円を基に、アフラックと同社社員、アソシエイツからの寄付金をはじめ、一般の人からの募金などを財源としている。また、毎年、主に9月のがん征圧月間にあわせ、全国各地で街頭募金を実施し、一般の人からの寄付を募っている。

今年度の新規奨学生120人を含め、奨学生累計数は1,631人に上り、奨学金給付額は累計で9億7,230万円を超えているという。

奨学生累計数は1,631人に上り、奨学金給付額は累計で9億7,230万円を超えている

アフラックでは、同基金設立15年を迎えた昨年の12月に、奨学生(現役生・卒業生)を対象にアンケートを実施(有効回答数 : 131)。

これによると、家計を考えて「進学や部活動等への参加について検討・悩んだ」と回答した人は65.6%、「志望校の変更について検討・悩んだ」人は29.8%で、そのうち46%が実際に志望校を変更したと回答。また、直面した困難については、「心の支えを失った」や、「家庭での相談相手の不在」といった回答が上位を占めた。そして、多くの回答者が、これらの困難を友人、部活の仲間、先生に助けられて克服したと答えており、「学校での生活環境が精神的な支えとなっていることが分かった」(アフラック)。

2011年度の募集には448人の応募があり、その約9割が母子世帯で、保護者の就業状況は、無職・パートが7割以上を占めていた。2006年の調査では母子世帯の平均年間収入は213万円で、全世帯の平均収入563.8万円の三分の一程度であることが分かっている。2010年4月から、国の公立高校無償化・高等学校等就学支援金制度による授業料無料化が始まったが、入学金、教材費、通学費などの費用が、公立高校で年間約24万円、私立高校で約46万円かかるなど、がんで主たる生計遺児者を亡くした世帯の家計にとって教育費が負担になっていることは、依然として変わっていないのが現状となっている。