公開中の映画『さや侍』を監督したダウンタウンの松本人志が18日、東京・丸の内ピカデリーで行われた同作のティーチイン(観客との質疑応答)イベントに出席した。

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松本監督が国内のティーチインイベントに参加するのは初。「普通に舞台あいさつに出たら、何だかまどろっこしくてイライラしてたんですよ(笑)。何でも答えたいし、もっとダイレクトにしゃべりたかった」という松本監督には、さまざまな質問が投げられた。

主演の野見勘十郎を演じた野見隆明のギャラについて、松本監督は「野見さんはお小遣い制だったんですけど、前借りが酷くて(笑)。撮影中も小遣いをもらうとすぐにパチンコして無くなってしまうんですよ。終盤では、ホテルのフロントで借りてたみたいです(笑)」と明かした。さらに「野見さんは携帯電話を解約してたんで、連絡取れないんですね。何で連絡してたかわかります? 電報ですよ(笑)。ゲゲゲの鬼太郎みたいな人です」と話して観客を笑わせた。

また、物語の重要な役どころを担った、竹原ピストルについては「野見さんと竹原くんがいなかったらこの映画は無かった」とし、「以前から竹原くんのファンだったんですけど、股関節の手術をする一週間前に杖をついてお願いしに行きました。断られたら持っているCDを全部捨ててやろうという覚悟で行きましたね。OKをもらって、この映画は大丈夫だと思いました」と思いを語った。

映画本編についてのティーチインだったが、次第にテーマはお笑い論に。同作の笑いの部分に触れながら、「笑いのメカニズムが今もわからないんですよね」という松本監督は「ツッコミって"警察"だと思うんです。必要なんですけど、平和だったら、警察はいらないほうがいいですよね。みんなの笑いのレベルが高ければツッコミはいらないと思う。ボケだけで笑えるんですね。その辺はジレンマがありました。ダウンタウンは浜田がいなければ売れなかったですし、複雑な思いです」と持論を展開しながら制作の苦労も明かした。

完成披露試写会で行われた舞台あいさつでは、「しんどいからブラックなものを撮るつもりはない」と話していた松本監督だが、この日は「数年したらブラックなものを作りますから!」と宣言。そこで、同作の脚本協力として参加し、イベントでMCを務めた放送作家の倉本美津留が「松本人志の島田紳介化は避けたい」と発言すると、松本監督は「オレが言うたんちゃうからな!」と焦りながら叫び、次回作の具体的な構想については「まったく考えていません。今までもそうだったんですけど、最初の会議ですべてがスタートするんで」と白紙であることを強調していた。

倉本(左)の爆弾? 発言に、松本監督は汗を拭くなど動揺を隠せないでいた

イベント最後には主演の野見隆明(右)と熊田聖亜(中央)も登場

『さや侍』は、無断で脱藩した罪で捕らえられた武士の野見勘十郎(野見隆明)と娘のたえの親子関係を軸に、変わり者の殿様(國村隼)によって、一日一芸で30日の間で若君(清水柊馬)を笑わせたら無罪放免という「三十日の業」に挑む勘十郎の姿を描く。