サッカー日本代表GKの川島永嗣選手

世界に挑戦する日本人アスリートを語学面からサポートする「グローバルアスリートプロジェクト」の発足式が13日、東京・原宿にて行われた。同プロジェクトの発足式では、発起人の1人でアンバサダーを務めるサッカー日本代表GKの川島永嗣選手が登場し、アスリートとしての語学の重要性を指摘した。

同プロジェクトでは、日本のトップアスリートが外国語でコミュニケーションスキルを身につけ、世界を舞台に活躍し続けることを応援。(1)世界のトップアスリートを目指すため、なぜ語学力が必要かを広く啓蒙、(2)スポーツと語学を組み合わせたスクールなどユニークなプログラムの展開、(3)海外プレイ経験があり、外国語を話せるアスリートのセカンドキャリアの場を提供ーという3つのミッションの達成を目指す。

まずは、3年間で300名(年間100名)のアスリートをサポートし、外国語トレーニングソフト『ロゼッタストーン』を無償提供する。サポート対象のアスリートは、国際大会などに日本代表として選抜、全国大会で16位以内の成績を修めた者に加え、将来スポーツの分野で活躍が期待できる中学生、高校生、大学生にも門戸を広げる。世界に挑戦するアスリートに役立つ情報を発信するウェブサイトもオープン。海外経験のあるアスリートの語学に関するインタビューなどを紹介する。

ベルギーのリールセに所属し、世界で活躍するアスリートの1人でもある川島選手は「近年世界に進出する日本人アスリートが活躍をしている一方、スタッフや選手となかなかコミュニケーションがとれなかったり、監督の言っている戦術が理解できなかったりといった言葉の壁を強く感じ、それが要因となってチャンスを逃してしまった選手が大勢います。僕自身も海外にわたり、言葉の壁で様々な苦労をしました」とアスリートとしての語学の重要性を指摘した。

イタリア語、スペイン語、英語、ポルトガル語、フランス語、オランダ語を勉強し、中でも英語とイタリア語はある程度話せるという語学堪能な川島選手だが、言葉の壁を感じることも少なくなかったようだ。18歳の時にイタリアに留学したことや、海外旅行が好きで何度か海外渡航した経験がありながら、なかなかコミュニケーションをとれなかった経験を明かし、ベルギーでは「渡航した当初はある程度英語が話せたものの、チームメイトが冗談言い合っている中でなんて言い返したらいいか分からず、とけ込むことが難しいと感じた」という。

本を買ったり、好きな音楽を訳したりと楽しみながら語学の勉強を続けてきた川島選手。リラックスしている時も、映画の字幕を英語で見たり、字幕なしで見て分からない言葉を調べてメモしたり、遠征先のホテルでインターネットで語学の勉強をしてきたりした。31種類の言語に対応する『ロゼッタストーン』でも勉強をしてきた川島選手は「ベルギーでもオランダ語のソフトを自分で購入して勉強していました。本で勉強しているとなかなか言葉が口から出てこないことも多いのですが、『ロゼッタストーン』なら絵でイメージしながら発音するので、とっさの状況でもこう言えばいいんだなとイメージできるのがいいです」と語った。

現在では、英語やイタリア語が話せるようになったことで、監督の戦術が分かるようになったり、信頼を得るのが大切なキーパーとして英語を話すことでチームメイトに受け入れてもらえるようになったという。海外に活躍できる秘訣について聞かれると、川島選手は「選手としての技術の高さ、いろいろなことに柔軟に対応できる精神、そして一番は語学だと思う」と強調。また、若いうちから様々な語学を勉強してきた川島選手は「ポルトガル語やスペイン語など、若い時に勉強していた語学は結構覚えているもの。若いうちからどんどんチャレンジしてほしい」と呼びかけた。