5月24日(米国時間)に発表されたWindows Phone 7向けの「Mango」アップデートだが、Microsoftならびに同OSの全面採用を表明したNokiaにとっては、今後AndroidやiOSといった強力なライバルとの開発者引き抜き合戦が待っている。そうしたなかMicrosoftがアピールするのは「より少ない販売本数でより多くの利益を!」というアプリ価格の引き上げを可能にするプラットフォーム戦略だ。

米Bloombergの26日(現地時間)の報道によれば、フィンランドの首都ヘルシンキで開催されたプレスカンファレンスの中で米Microsoftのアプリ開発プログラム担当ディレクターBrandon Watson氏が「わたしとしては開発者らに100万本以下のダウンロードで100万ドル以上の利益を上げてもらいたい。もし、より高い価格帯を扶助できのならば、それは開発者らにとってよいことだ」とコメントしたことを報じている。

スマートフォン向けのアプリを配布するアプリストアの先駆けとなったAppleのApp Storeにより、アプリ単価は1ドル(99セント)または無料という形態が一般的となった。当初は価格を高めに設定していた開発者らも、その売上を伸ばすために値下げを断行せざるを得ず、結果的に現在の価格帯に落ち着いた経緯がある。一部アプリはそれよりも高い値付けを維持できているが、やはり有料アプリの最低価格である1ドルのアプリが圧倒的に多い。今後、こうしたトレンドをいかにして変え、ライバルプラットフォームとの差別化を図っていくかがMicrosoftや関連パートナーらの腕の見せ所だ。

Watson氏によれば、Nokia初のWindows Phone 7端末が登場するのは今年2011年第4四半期になる見込みだという。またこのタイミングでNokiaは同社独自のWindows Phone向けアプリストアを開設し、何千ものSymbianアプリデベロッパーらに対しWindows Phone向けにソフトウェアを用意してもらえるよう作業を進めていく意向だという。冒頭にも紹介したように、現在MicrosoftとNokiaにとっての課題は既存デベロッパーらの開発プラットフォームがAndroidやiOSへと移行するのをいかに防ぐかという点にある。特に長年にわたって開発者を抱えてきたSymbianプラットフォームにおいては、NokiaのWindows Phone採用を機会にデベロッパーらの大量流出が懸念されている。これら1人1人を逃さず、確実に新プラットフォームへと誘導していくことが何より両社にとって重要となる。