STMicroelectronicsは、MEMSセンサの需要拡大を受け、2011年末までに自社のMEMSセンサの生産能力を1日当たり300万個以上へと増強することを発表した。

同社は2006年より200mmウェハによるMEMSセンサの生産を開始しており、これにより低価格な製品提供を実現した。同社のMEMSセンサの主要製造拠点は、センサ素子を製造するアグラテ工場(イタリア)とカターニャ工場(イタリア)、ASICを製造するルッセ工場(フランス)とクロル工場(フランス)、そして組立・テストを行うキルコップ工場(マルタ)とカランバ工場(フィリピン)となっている。

加速度センサとジャイロ・センサに使用されている表面マイクロマシニング・プロセス「THELMA(Thick Epi-Poly Layer for Microactuators and Accelerometers)」は、厚さの異なるpoly-Si層を組み合わせて構造および配線を形成する技術で、これにより、直線運動と回転運動をそれぞれ検知するメカニカルな素子を1チップに集積することが可能になり、コストとサイズのメリットをカスタマに提供することが可能となっている。

また、これと相補的な関係にあるプロセス「VENSENS(Venice Sensor)は、単結晶Siの中に空洞を集積することにより、サイズと性能の面で優れた特性を備えた小型の圧力センサを製造する技術。

なお、現在、同社のMEMSセンサは、スマートフォン、タブレット、携帯型メディア・プレーヤ、ゲーム機器、デジタル・カメラ、リモート・コントローラなどのコンシューマ機器に提供されているほか、ノートPCではHDDを自由落下から保護するため加速度センサを、車載機器メーカーではエア・バッグや先端ナビゲーション・システムなどのアプリケーションに使用している。