東芝は5月9日、2010年度の決算概要を発表した。売上高は前年比1.7%増の6兆3985億円、営業利益は前年比92%増の2403億円。「連結/単独ともに金融危機前の利益水準まで回復」(東芝 代表取締役副社長 村岡富美雄氏)し、1株あたり3円という3年ぶりの期末配当も実施する。

セグメント別の概要は以下のスライドのとおり。

セグメント別の売上高/営業損益

デジタルプロダクツ、電子デバイス、社会インフラ、家庭電器の全セグメントで黒字化を達成。特に電子デバイスに関しては、前年の204億円の損失から868億円の利益へと、大幅改善を遂げている。なかでも黒字化を大きく牽引したのが半導体と液晶で、半導体に関してはNAND型フラッシュメモリがSSD需要増などにより前年度比641億円増の664億円の利益を確保、液晶に関しては主に携帯端末向け需要の増加により前年度の361億円の損失から101億円の利益にまで大幅改善している。

半導体の内訳

液晶の業績推移

そのほか、家庭電器が前年度の54億円の損失から88億円の利益まで改善しており、主な要因としては、エコポイント制度の効果と猛暑による需要増により、白物家電、家庭用エアコンが好調だったことが挙げられている。また、デジタルプロダクツに関しては、液晶テレビ/パソコンの伸張により増収となったものの、記憶装置(ハードディスク装置、光ディスク装置)の市況が悪化し、全体では減益となっている。

なお、震災の影響に関しては、「売上高で700億円、営業損益で200億円の損失があったと見ている」(村岡氏)と言い、「この影響がなければ、2008年の業績を上回る結果になったのではないか」(村岡氏)との見方を示した。

2011年度に関しては、売上高7兆円、営業利益3000億円という業績見通しを発表。PC/TVともに400万台以上の販売増を見込むほか、半導体では24nmプロセス以下のNAND型フラッシュメモリの量産体制を強化するなどして、全体で2010年度比600億円近くの増益を掲げている。なお、2011年度のNAND型フラッシュメモリについては、ビット成長率を年60%、売価下落を20~30%とし、合計で2010年度と同程度になると予測している。

2011年度の業績見通し

2011年度のセグメント別の業績見通し