Internet Protocol version 6

3月27日から4月1日まで、チェコのプラハで開催された「第80回IETFミーティング」のレポートがJPNIC News & Views vol.840およびvol.841の臨時号第80回IETF報告 IPv6関連WG報告 [前編]および[後編]として公開された。IPv6関連のワーキンググループにおける関心ごとがまとまっており参考になる。特に、[後編]で取り上げられているIPv6に関するオペレーション技術、共存・移行技術などを議論するワーキンググループ「v6ops WG (IPv6 Operations WG)」関連の報告がネットワーク管理者向けの情報として参考になる。

v6ops WG関連で実施されたミーティング内容の報告から、さらに概要をまとめると次のとおり。

  1. IPv6利用時に発生する通信問題について
    • IPv6からIPv4へのフォールバックにかかる時間、不正RAの影響、Happy Eyeballs機構 (複数のTCPセッションを同時に開始し、最初に通信を開始したセッションを利用することでフォールバックを回避する機構)の有効性に関する報告
    • Happy Eyeballs機構の実装報告、機構問題点報告、改善提案
    • デュアルスタックWebサーバに対するユーザアクセスの統計紹介
    • Happy Eyeballs仕様議論
  2. NAT64アプリケーション評価について
  3. 6月8日に実施が予定されている「World IPv6 Day」参加招集について
  4. IPv6移行プロトコル「6to4」に関する議論について
    • 6to4を利用する際のガイドラインの提案
    • NAT66と組み合わせて6to4の実装を利用したままプロバイダーが管理する6to4を実現する提案
    • 6to4を「歴史的」ステータスに変更する提案

日本が新規に獲得できるIPv4プールは枯渇しており、IPv4アドレスの流動化を進めることでIPv4の効果的な再利用を進めるとしても、中長期的にはIPv6の活用は避けられないものとみられる。年内にはすでにJPNICからIPv4を確保した企業や組織においてもIPv4の使いきりが出てくるとみられており、IPv6の本格的な利用が始まることになるとみられる。

これまでIPv4を前提に管理を実施してきたネットワーク管理者にとって、IPv6は今後取り組むことになる技術となる。現在IPv6関連のワーキンググループでどのような議論が交わされており、実装やオペレーションの面でどういったコンセンサスが得られているかを把握しておくことは、今後の管理にとっても重要な情報となる。