モバイルアプリ開発者の間で依然としてAppleのiOSデバイス(iPhone/iPad)への関心が高い一方で、将来有望な対抗馬としてみられていたGoogleのAndroidは、魅力的な開発プラットフォームとしての停滞期に入りつつある。タブレット市場での初期のセールスが振るわなかったことや、異なるデバイスの乱立など、Androidならではの開発リスクに起因するところがあるとみられる。

これは、調査会社の米IDCと、クロスプラットフォーム開発環境「Titanium」で著名な米Appceleratorが共同で実施した「The Appcelerator-IDC Q2 2011 Mobile Developer Report」の調査報告によるものだ。調査期間は4月11~13日の3日間で、Appceleratorユーザー2700人を対象にしている。それによれば、開発者が大きな関心を寄せるデバイスとして91%がiPhoneを挙げたのに対し、Android(スマートフォン)のそれは85%にとどまっている。なおタブレットでは、iPadが86%に対し、Androidが71%になっている。最近は販売シェアと実働OSシェアともにAndroidが最大勢力となっており、過去のAppcelerator-IDC調査でもAndroidへの関心は急速に高まっている。ところが今回の調査では3ヶ月前と比較してわずかに減少するなど若干ながら頭打ちがみられ、iOSへの関心が引き続き高い一方で、Androidに対する興味はやや停滞傾向にあることがとれる。

とはいえ、iOSとAndroidが開発者らの関心を最も集める2大プラットフォームであることには変わりなく、それら対抗馬になるとみられるMicrosoftのWindows Phone 7、RIMのBlackBerry、NokiaのSymbianといったプラットフォームは関心の面で大きく引き離されている。例えば、Windows Phone 7に対しては29%、BlackBerryに対しては27%の開発者が関心を示しているといった具合で差が非常に開いている。ただし、今回の調査ではWindows Phone 7の登場でMicrosoftプラットフォームへの関心が高まる傾向が出ており、BlackBerryを抜いて3位のポジションに収まっている。今後、トップを走るiOSやAndroidの有力な対抗馬になるかが注目ポイントだ。開発者としては、現時点でiOSとAndroid向けアプリの開発で手一杯であり、これらをすばやく移植できて、なおかつWindows Marketplaceで適切な利益を得られる体制を確立することが、魅力的なプラットフォームとして認知されると考えているようだ。

なお今回、Androidの停滞傾向が以前に比べてみられるようになったという話が出ているが、開発者が挙げるリスク要因としては「プラットフォームの分裂」(63%)、「タブレット市場における初期の引きの弱さ」(30%)、「複数あるAndroid向けアプリストアの存在」(28%)などがある。とはいえ、1つめのプラットフォームの分裂については要因としてはそこまで大きくなく、むしろ開発者にとっては「どの開発言語を選ぶ? (例: Objective-CとJava)」「どのプラットフォームをターゲットにする? (例: iOS、Android、WP7)」といった根本的な部分を気にしているようだ。