National Semiconductor(NS)は、太陽光発電システムの信頼性向上、設計簡素化と、それらによるコスト低減を実現する同社「SolarMagic」シリーズの10品目となるIC群を発表した。

同製品群は太陽光発電リニューアブル・エナジー・グレードに適合した同社初の製品で、屋根の過酷な環境に対応できるよう、低温から高温状態までを考慮して設計されており。太陽光発電の要件に対応した信頼性を備え、各種の試験をクリアしているほか、25年という太陽光発電モジュールの製品寿命を上回る長期間動作を確認しているという。

National Semiconductorが発表した新しい「SolarMagic」シリーズの利用イメージ

各製品を単独で採用すれば、マイクロインバータまたはパワー・オプティマイザなどの高耐圧および大電流のゲート駆動に使用できるほか、リファレンス・デザインに基づいたセットとして使用した場合、同製品はジャンクション・ボックスや他のタイプの筐体の発電量回収の向上、キロワット時あたりコストの低減、安全性の向上を実現することが可能となる。

最大電力点追従(MPPT)方式の分散型太陽光発電電力最適化アプリケーション向けに、プログラマブルMPPTコントローラ「SM72441/SM72442」が提供される。これらのMPPTコントローラは電圧/電流診断、4つの内蔵型スイッチ昇降圧コンバータ制御、過電圧/過電流保護、I2Cインタフェースなどの機能を備えている。

パワー・オプティマイザ、マイクロインバータ、チャージ・コントローラの電力処理回路向けには、フルブリッジ「SM72295」およびデュアル5A複合型ゲート・ドライバ「SM72482」が提供される。2製品はフルブリッジ構成で4つのディスクリートMOSFETを駆動でき、高シンク電流と高ソース電流対応のハイサイド過電流検出アンプを内蔵している。

パワー・オプティマイザ、マイクロインバータ、チャージ・コントローラに使用される多様なバイアス電源アプリケーション向けに、高い変換効率で最大100Vの電圧で動作可能なコンスタント・オンタイム(COT)制御方式のスイッチング・レギュレータ「SM72485」が提供される。また、低電力向けの5V低ドロップアウト(LDO)レギュレータ「SM72238」も提供される。

さらに、保護、センシング、監視、制御のための分散型太陽光発電電力最適化/バッテリ・チャージング・アプリケーションで一般的に使用される補助回路向けに監視リセット回路「SM72240」、デュアル・マイクロパワー・フルスイング入力CMOSコンパレータ「SM72375」、プリセット温度スイッチ/センサ「SM72480」などが提供される予定となっている。

また、このほか同社では低位相ノイズとRMS(二乗平均平方根)ジッタ特性を特長とする新しいクロック・ジッタ・クリーナ「LMK04800」ファミリも発表した。

クロック・ジッタ・クリーナ「LMK04800」ファミリのイメージ

同ファミリは12kHzから20MHzの周波数範囲で111fsのRMSジッタ、184MHzの出力周波数時に-162dBc/Hzの広帯域ノイズ・フロアを提供しており、こうした低いレベルの位相ノイズの実現により、全体的なBOMコストの低減と、無線/有線通信、試験/計測、医療用画像処理、ソフトウェア無線(SDR)、デジタル放送アプリケーションで使用されるシステムの性能向上を実現することができるようになると同社では説明している。

同ファミリは「LMK04808/LMK04806/LMK04805/LMK04803」の4つのICで構成されており、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、SerDes、FPGAの基準クロックとして最大1.5GHzの複数の周波数生成が可能だ。

いずれもホールドオーバー、スイッチオーバー、複数入力、デジタル遅延、アナログ遅延、奇数/偶数分周回路、12個のプログラム可能な出力ドライバなどの機能を内蔵しており、クロック・アーキテクチャの複雑さを低減することが可能となっている。

4製品ともに64ピンのLLPパッケージで出荷が開始されており、1,000個一括購入時の価格はそれぞれ9.15ドルとなっている。