時計の技法、工芸品の美を極めた時の至宝、ブレゲ。創業者の天才時計師アブラアン ルイ ブレゲがマリーアントワネットのために作った「No.160」は、「パーペチュアルカレンダー」(永久カレンダー)、「ミニッツリピーター」(時を鐘で知らせる)、「トゥールビヨン」(時計の姿勢と重力による誤差を修正)、「スプリットセコンド」(別々に動作する2系統のストップウォッチ)など、機械式時計の最も重要にして複雑な機構をすべて備えていた。

その独創的な発想と高度な技術力のDNAは現代のブレゲにも受け継がれ、BASELWORLD 2011にて発表された新作の数々で見事に開花している。

ブレゲの新作ウォッチ「クラシック 5717 オーラ・ムンディ」。写真はダイヤルの地図がアジアタイプのもの

「クラシック 5717 オーラ・ムンディ」は、ボタン操作で2つの国の時間を瞬時に切り換えられる「インスタント・ジャンプ・タイムゾーン表示機構」を内蔵した機械式腕時計。世界地図をモチーフとした文字盤上でホームタウンを選び、時間を合わせてから第2都市(セカンドディスティネーション)を同様に選択。地域は24カ国から選択できる。二国間の時間を切り換えることで、都市名、デイ&ナイト、日付が連動する。この複雑な機構を機械式で制御しているとは驚きだ。

ブレゲはこの仕組みにおいて、GMTに関する3つのパテントを取得。開発には3年もの月日が費やされたという。

ダイヤルの世界地図はアジア、ヨーロッパ、アメリカの3つのデザインを予定。それぞれにおいて、ケースがプラチナのモデルと18金のローズゴールドモデルがラインナップされるとのことで、シリーズは全6モデルとなるようだ。

ダイヤルデザインも、ブレゲらしく宝飾工芸品の域。18金素材にシルバーのプレートをかけ、透明ラッカーを重ねて海を表現。さらに、波模様を手彫りのギョシェで施している。ケースサイズは、直径44mm×厚さ13.55mm。3気圧防水。ムーブメントは「キャリバー77F0」。予価はプラチナモデルが976万5,000円、ローズゴールドモデルが813万7,500円。

エレガントな「クラシック7787ムーンフェイズ」

クラシックラインナップからは、「クラシック7787ムーンフェイズ」も発表された。ケースサイズは39mmと36mmの2種類。男女を問わず好みで選べる。ペアウォッチとしてもそろえられ、これを見込んだセット販売も行われる。

各サイズともケースは18金で、ローズゴールドとホワイトゴールドがラインナップ。いずれも手彫りギョシェによる装飾を施した文字盤が組み合わされるが、ローズゴールドに関しては高温焼成エナメル仕上げのダイヤルを組み込んだタイプや、ダイヤをセッティングしたタイプも揃える。緻密でゴージャスなギョシェもいいが、シンプルなエナメル処理のダイヤルもまた、ブルーのブレゲ針が映えて美しい。このスペシャルモデルはパリのブティックのみで販売される予定。

3気圧防水で、ムーブメントは「キャリバー591DRL」。予価はホワイトゴールドモデルが311万8,500円、ローズゴールドモデルが306万6,000円。

「タイプXXI チタン・モデル」。クロノグラフもクラシカルなデザインが人気

人気のクロノグラフでも、クラシカルなデザインの「タイプXXI チタン・モデル」が発表された。これはブレゲが1950年代にフランス海軍航空部隊(アエロナバル・フランセーズ)のために開発した「タイプXX」からインスピレーションを得て開発したもの。フライバック・クロノグラフ機能を持ち、ボタンを押すだけでクロノグラフのリセットと再スタートの操作が一瞬で行える。ケースには初めてグレード2チタンが採用され、見た目の印象からは信じられないほど軽快な着け心地だ。

ブラックラッカー仕上げの回転ベゼル(素材はSS)にはレリーフ状の数字が配され、マットブラックダイヤルには24時間表示やスモールセコンドによる秒表示を装備した。ケースサイズは直径42mm×厚さ15.3mm。10気圧防水。ムーブメントは「キャリバー584Q/1」。予価はチタンブレスモデルが158万5,500円、レザーストラップモデルが132万3,000円。

ブースでは、技術者のていねいな指導の下、ギョシェ彫りの体験も行っていた