SIM-Driveは、2010年1月19日より2011年3月31日までの期間で開発を進めてきた電気自動車(EV)の先行開発車第1号「SIM-LEI(Leading Efficiency In-wheel motor)」が完成したことを発表した。

SIM-LEIの外観

同事業は、2013年頃に量産化が出来ればと願う電気自動車の先行開発車の試作を行うことを目的として行われてきたもので、将来、EVビジネスに参入を意図している34機関が参加して開発が行われてきた。

SIM-LEIのインテリア

SIM-LEIの性能目標は、現在のEVで普及上、最も大きな問題とされている航続距離を300km以上とすることにあったが、完成した車輌の試験の結果、JC08モード(日本における標準的な市街地走行モード)において、333kmの性能を得ることができたという。

SIM-LEIの仕様

同性能を出すための電池の容量は24.9kWhで、市販されているEVの電池容量とほぼ同等。交流電力消費率としては、77Wh/kmで、1リットル当たりのガソリン消費換算で70km/リットルのエネルギー消費率に相当する。

インホイールモータおよびコンポーネントビルトイン式フレームなどの同社の独自技術が用いられているほか、オール鋼鉄製モノコックボディによる車体の軽量化、高パワー密度電池の利用による回生エネルギーの高効率回収、低転がり摩擦抗タイヤによる転がり摩擦の低減、低空気抵抗ボディによる空気抵抗低減の効果などが燃費向上に大きな役割を果たしているという。

SIM-LEIは、全長は中型車だが全幅は小型車並であり、足元を広く、かつトランクルームの空間を広く取る構造を採用しながらも、加速性能は、0→100km/hの条件で4.8秒を実現している。

SIM-LEIの完成により、長距離走行が可能であることと、エネルギー消費率が良好であることが示された結果、夜間に充電を行うことを前提とすると、日本のすべての車がEVに変ったとしても、発電所の増設は不要で、かつ、内燃機関自動車に使われてきた石油の一部を発電にまわすことで、すべてのEVの充電を行うことが可能であると同社では説明している。

また、夜間に貯えた電力の一部を昼間の時間帯に家庭用などの電力として使用することも可能であり、このことから、現在、問題になっている昼間の電力不足の解決にも貢献することが可能だという。

なお、同社は2011年1月よりEVの先行開発車事業第2号をスタートさせており、こちらも34機関が参加し、実用化に向けた開発が進められることとなっている。