サイレックス・テクノロジーは、IPネットワークを利用してUSB機器を複数人で共有したり、離れた場所に設置して利用できるようにする同社技術「USB Virtual Link Technology」などの組み込みソフトウェアの製品体系を「Silex Embedded Software Series」として整備し、ワールドワイドに向けた組み込みソフトウェアのビジネスを強化することを発表した。

同シリーズ第1弾としては、ゲートウェイ、ルータ、アクセスポイントなどにNAS機能を付加することが可能となる組み込みソフト「SX NAS Plus」と、プリントサーバ機能を付加することができる「SX PrintServer Plus」を発表、2011年4月4日より提供を開始する予定。

SX NAS Plusは、オープンソースのSambaと比較して、最少で30分の1程度のソフトウェアサイズを実現しており、メモリ容量を圧迫しないことから組込機器のコストダウンを可能とする。また、性能もSambaと同等もしくはそれ以上の速度を実現できると同社では説明している。CPU要件はx86のほか、MIPSおよびARMで、OS要件はLinux Kernel 2.6系(2.6.16以降推奨)となっており、同機能をUSBホストインタフェースが搭載されたルータに実装した場合、ルータのUSBポートにUSB-HDDを装着するとUSB-HDDをNASとして認識できるようになり、複数のPCなどからファイル共有を行うことが可能となる。

一方のSX PrintServer Plusは、LPR/TCP Port#9100(RAW ポート印刷)に対応しており、スプールファイルを作成しないため、消費するハードウェアリソースの抑制が可能だ。CPU要件はx86のほか、MIPSおよびARMで、OS要件はLinux Kernel 2.6系(2.6.16以降推奨)となっており、これを用いることで、USBホストコントローラとLANインタフェースを持つ機器をプリントサーバとして利用することが可能となる。

また、従来から同社が販売してきたUSBデバイスサーバ機能を付加できる組み込みソフトウェア「SX VirtualUSB SDK」を「SX UVL Plus」として、USBデバイスサーバ機能を利用するためのPC側アプリケーション開発キットを「SX UVL Client SDK」に名称変更して提供を行う。

今回提供される組み込みソフトウェア

加えて、同社は同社のPCI Expressに対応したIEEE802.11a/b/g/n準拠の無線LANモジュール「SX-PCEAN」を、3月25日より販売を開始したネットワーク・ディスプレイ・アダプタ「SX-ND4050G」に搭載し、提供を開始したことを発表した。

独自技術などを用いることで高い通信品質を実現した「SX-PCEAN」

SX-ND4050Gは、無線LANを介してディスプレイやUSB機器を複数の人間で共有したり、離れた場所に設置して利用することを可能とする製品。SX-PCEANはAtheros Communicatonsのチップ「AR9280」をベースに設計された2.4/5GHzデュアルバンド対応の無線LANモジュールで、DFS(Dynamic Frequency Selection:動的電波周波数選択)帯域であるW53(5250-5350MHz)とW56(5470-5725MHz)を含めた幅広いチャネルに対応でき、無線通信距離と送信レートの最適化を目的として特定チャネルと帯域における出力設定値を独自ノウハウにより調整しているため、同じチップを用いた他社製品に比べ、距離が離れていても、安定して高レートでの通信を確保することが可能となっている。

また、2×2のMIMOに対応しており、IEEEE802.11nの最大300Mbps(理論値)の無線通信が可能なほか、各種組込機器に合わせてドライバソフトウェアを提供することが可能。さらに、アンテナなどの部品まで含めて設計から開発、評価、製造、検査までのすべての工程を自社で行っており、過酷な環境でも活用が可能な品質を実現しているという。

なお、同社ではSX-PCEANをはじめとした自社製無線LANモジュールを搭載した製品ラインアップを拡大し、組込機器や医療機器、産業機器などに向けて高品質な無線環境の提供を行っていく計画としている。