長野電鉄はこのほど、屋代線(屋代駅 - 須坂駅、24.4km)の廃止届を国土交通省に提出した。廃止予定日は2012年4月1日、運行終了は2012年3月31日。乗客数が減少し収支改善の見込みがなく、鉄道施設の設備更新費用が多額で投資が困難とのこと。

長野電鉄屋代線、もと営団地下鉄日比谷線の電車を運行している

長野電鉄は2009年2月、屋代線の累積赤字がかさみ、運行維持が難しいとして沿線自治体に支援を求めた。この要請を受けて活性化協議会が結成され、上下分離やパークアンドライド推進など27の事業を検討開始。また長野電鉄も屋代線観光案内サイトを立ち上げるなど集客の方向性を模索した。しかし、2010年2月2日、活性化協議会は無記名投票で「廃止、バス転換」が決定、これを受けて廃止届が提出されたとのこと。

廃止届を受理した国土交通省北陸信越運輸局は、廃止日繰り上げを判断するための意見聴取を実施する予定。意見を希望する人は郵送で申請する。審査の結果、廃止日が半年間繰り上がる可能性もあるという。

長野電鉄屋代線の路線図(国土交通省資料より)

長野電鉄屋代線は1922年に河東鉄道が開業し、1926年に長野電鉄河東線となった。2002年に一部区間が廃止されて屋代線と改称した。屋代駅でしなの鉄道(旧信越本線)、須坂駅で長野電鉄長野線と接続する。途中駅は11カ所。1962年から20年間、国鉄の急行が屋代駅から乗り入れて、上野駅と直通していたとのこと。沿線には「池田満寿夫美術館」「えのき茸発祥の地(人工栽培生産開始に因む)」、第二次大戦時に大本営移設地として作られた「象山地下壕」などがある。