JR西日本は23日、管内の在来線の一部について4月以降に減便すると発表した。東北地方太平洋沖地震の影響で、直流電動機の消耗部品が調達できなくなったため。影響を受ける車両は直流電動機を搭載した形式で、同社が保有する在来線車両の約半数に及ぶという。

直流電動機を搭載する381系特急「スーパーくろしお」

特急列車で影響を受ける列車は、381系電車を使用する「くろしお」「スーパーくろしお」「やくも」と、183系電車を使用する「こうのとり」「きのさき」「はしだて」。183系には4月下旬から、381系は5月下旬から一部の車両が運行できないという。普通列車は103系、105系、113系、115系、117系、205系、221系の一部車両が4月下旬以降、413系、415系の一部車両が6月下旬以降の運行ができないとのこと。

同社は対策として、該当する特急列車については4月2日より1編成あたりの車両数を減らす。また、運行を予定していた臨時列車を取りやめる。普通列車については朝の通勤時間帯の運行は確保するものの、データイムの運転率を50~80%に減便する。京阪神地区では4月11日から。それ以外の地域では4月2日から実施予定。また、この措置にともなって、4月4日から実施予定の「女性専用車の終日化」は実施を見送るとのこと。

主な線区の時間帯運転率は次のとおり。

線区 朝通勤時間帯 データイム 終日
琵琶湖線・JR京都線・JR神戸線 100% 100% 100%
JR宝塚線 100% 100% 100%
学研都市線・JR東西線 100% 100% 100%
大阪環状線 100% 80% 95%
阪和線・関西空港線 100% 100% 100%
大和路線 100% 65% 90%
おおさか東線 100% 55% 85%
湖西線 100% 75% 90%
嵯峨野線 100% 55% 85%
奈良線 100% 65% 85%
北陸本線(金沢~直江津) 100% 60% 90%
七尾線(金沢~七尾) 100% 60% 90%
和歌山線(和歌山~粉河) 100% 50% 80%
紀勢本線(和歌山~御坊) 100% 50% 80%
山陰本線(綾部~城崎温泉) 100% 60% 90%
舞鶴線(綾部~東舞鶴) 100% 70% 90%
山陽本線(岡山~三原) 100% 60% 70%
赤穂線(長船~岡山) 100% 50% 80%
山陽本線(三原~下関) 100% 70% 80%
呉線(三原~海田市) 100% 50% 80%
可部線(広島~可部) 100% 60% 90%

入手できなくなった部品は「直流電動ブラシ」。モーターを回転させるため、モーターの軸に近い整流子という部分に電流を流す役割がある。同部品は素材を茨城県日立市の工場で生産し、最終的な加工を福島県双葉郡浪江町の工場で実施していたという。浪江町は被災した福島第一原子力発電所から10km圏内にあり、避難地域に指定されている。

調達時期が未定となった直流電動機の部品「直流電動ブラシ」と搭載位置(JR西日本の報道資料より)