Firefox web browser - Faster, more secure & customizable

ここ最近、ブラウザベンダの関心はアドレスバーに移っている。どうやってアドレスバーを消すかというがのが、その大きなテーマだ。

Chromeが登場したころから、ブラウザのデザインはいかにしてコンテンツ表示領域を広げ、ほかのUIパーツをシンプルにするかという方向に進んでいる。その結果、どのブラウザも似たようなUIになってきたが、現在各ベンダーが特に熱心に取り組んでいるのがアドレスバーの排除である。アドレスバーを排除できるとコンテンツ表示領域をさらに広げることが可能になるためだ。

プロダクトとしてインパクトが大きかったのはIE9 RCだ。MicrosoftはIE9のアドレスバーをタブバーと同じエリアに配置した。この結果ほかのどの主要ブラウザよりもコンテンツ表示エリアが広くなった。Chromeが実現したシンプルなUIをさらに推し進めた形になっている。

IE9 RC / Windows 7 - アドレスバーの横にタブを配置することで、コンテンツ表示領域を広く確保している。

タブはアドレスバーの横に展開されていく。

Firefoxはホームダッシュで次世代UIの実験を進めているが、ホームダッシュが提供するUIは現在のUIからかけ離れすぎており、直近のUIデザインとしての採用の可能性は低い。どちらかといえばアプリタブにおけるボタンメニューとアドレスバーの排除が、次のUIデザインとして現実的だ。このあたりの話題をMozillaのテクノロジーエバンジェリストであるPaul Rouget氏が2月28日のブログでまとめている。

「このページはWebアプリケーションである」という記述がHTMLで指定されており、「ピン留め」に追加されたページは「Webアプリ」として扱い、アドレスバーを表示しないといったアイディア - Paul Rouget氏のブログより抜粋

Webアプリは専用のボタンメニューと編集可能なコンテキストメニューにアクセスできるなどのアイディアも紹介されている - Paul Rouget氏のブログより抜粋

Firefox 4ではページを「ピン留め」できる。英語では「App Tab」とされている。GmailやTwitterのようなWebアプリケーションに指定することを想定したもので、ピン留め(App Tab)に追加されたページはアイコンのみの表示となり、タブが短くなる。このタブはすでにURLが分かりきっているし、Webアプリケーションとして利用するのだから、アドレスバーもナビゲーションボタンも不要だろう、というわけだ。現実的なアイディアであり、このUI案は近い将来のFirefoxに採用される可能性がある。

Chromeでも同様にアドレスバーを排除するデザインが検討されている。現在のところクラシック、コンパクト、サイドタブ、タッチスクリーンというデザイン案が公開されており、デザインの模索が進められていることがわかる。

コンパクトデザインではアドレスバーが削除される。タブをダブルクリックするとURLを編集できるようになる仕組みを想定している。

サイトタブデザインでも同様にアドレスバーは表示されていない。

コンパクトデザインではアドレスバーが非表示となる。読み込み時にURLが表示されるほか、タブをダブルクリックすることでURLが編集できるようになる仕組みが想定されている。Googleは強制アップグレードの仕組みで確実にユーザのChromeのバージョンを更新している。こうしたデザインがいつの間にかChromeに適用される日はそう遠い話ではないかもしれない。

SafariやOperaでは今のところこうしたデザイン変更は発表されていないが、IE、Firefox、ChromeというプレーヤがさらにコンパクトなUIデザインへ移行した場合、同様のデザインを模索する可能性がある。表示エリアを少しでも広げようという取り組みは今後もしばらくの間はブラウザデザインの主題であり続けるとみられる。

なお、アドレスバーを非表示にするデザインはセキュリティ上問題もあるため、安易にアドレスバーを非表示にするといった取り組みは実施されず、なんらかのセキュリティ機能と合わせて導入が進められることになるとみられる。