ARMは、3G/4Gモバイル・ベースバンド、マス・ストレージ、車載機器、産業機器市場向けプロセッサとして「ARM Cortex-R5 MPCore」および「ARM Cortex-R7 MPCore」を発表した。

Cortex-Rシリーズに属するこれら2つのプロセッサのリアルタイム機能は、LTE、LTE-Advanced(4G)など高度なモバイル・ベースバンド・アプリケーションに対応可能で、高頻度の割り込みに加え、セルラ基地局とモバイル機器間の高速かつ決定論的データ伝送制御をサポートすることが可能だ。

また、HDD、SSDマス・ストレージ・システムにおいて、プロセッサの性能、信頼性、リアルタイム応答の最適なバランスを実現することが可能なほか、開発の容易さと高度なデバッグ機能により、現在および将来のシステム・チップ・アーキテクチャを市場の動きに対応させル事が可能となっている。

さらに、高い性能と信頼性を必要とする組み込みアプリケーションに対し、ソフト/ハード・エラー管理、ロックステップ動作する2個のプロセッサを使用した冗長デュアルコア・システム、すべての外部バスの誤り訂正符号(ECC)など、安全最優先の機能群を提供している。

2プロセッサともにシングル・コア、デュアル・コアの実装が可能。特に、Cortex-R7 MPCoreは、新しいリアルタイム拡張など実証されたSMPマルチコア・テクノロジーを搭載し、意図したアプリケーションについて性能のスケーラビリティとエネルギー効率を最適化することが可能だ。

加えて、Cortex-Rシリーズのプロセッサはバイナリ互換のため、システム設計者は、現在のアプリケーションに適切なプロセッサと機能を選択することができるほか、多大なソフトウェア投資を保存しつつ、既存の設計の発展にしたがった安全な移行パスを提供できるため、モバイル・ベースバンドの分野では、現在の3Gベースバンド製品の90%に搭載されているARMプロセッサ・ベースのソリューションから、LTE対応のCortex-R5プロセッサ、そして将来的なLTE-Advanced(4G)設計向けのCortex-R7プロセッサへの移行も可能となる。

Cortex-R5は、Cortex-R4の機能群を拡張することで、システム性能、効率性、信頼性を向上させ、信頼できるリアルタイム・システムのエラー管理を強化したもの。このようなシステムレベルの機能には、高速のペリフェラル読み出し/書き込みに対応する高優先度の低レイテンシ・ペリフェラル・ポート(LLPP)、キャッシュ・コヒーレンシによってデータ転送効率を高め、ファームウェアの信頼性を高めるアクセラレータ・コヒーレンシ・ポート(ACP)などがある。

一方のCortex-R7は、Cortex-Rシリーズの性能を過去にないレベルまで高ることを目指したプロセッサ。アウトオブオーダ実行、動的なレジスタリネーミングと分岐予測の改善、スーパースカラ実行、除算、浮動小数点演算に加え、その他の関数の高速ハードウェア・サポートが実装されている。

なお、2プロセッサともにすでにライセンス供与を開始しており、マス・ストレージ、車載機器、モバイル・ベースバンド市場のライセンシ4社が設計を開始しているという。